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耽美奇譚

鈴を付けた

作者: 秋暁秋季

注意事項1

起承転結はありません。

短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。


注意事項2

何処までも、何処までも、人外な話です。

とゆか人外しかいません。


同棲中の保護者は、何時何時(いつなんとき)でも私の髪に触れた。朝出掛ける時も、帰ってきた時も、夜寝る時も、褒める時も全部全部。

その意味はきっと、傍から見ればただの愛情表現にみえるのだろう。けれども、その実、全く別の疑惑があるという事も、気がついている。だってあの人は――。


余りにも長い時を過ごして来て、余りにも多くの者を見て、そうしてとろりと人間社会に溶け込んだ。人が持つ優しさも、醜悪さも、ただ俯瞰的に眺めて来たつもりだった。けれども引き受けた彼女の事は、その集団から外れた存在であると認識している。

ある時の事、庭先に一匹の蝶が舞っていた。ひらひらと、上下に舞踊りながら優雅にその場を去ろうとした。

その時の事、彼女はその蝶に駆け寄って、追いかけ回す。子供特有の、動きある物に興味を示す物だと静観していた。そうして彼女は子供よろしく手を伸ばし、両手で握る様にその蝶を捕らえた。近寄って上から眺めると、粉々になった羽と、折れた胴体が彼女の掌の上で輝いていた。

「......」

「駄目だよ。力任せに捕まえちゃ。砕けちゃう」

そう言うと、彼女は大きな目をぱちくりさせて、自分の掌を眺める。それから私の方に掌を差し出した。

「殺したよ」

「ん?」

「害虫、殺したよ。褒めて」

私と彼女の間に僅かな沈黙が訪れる。この小さなズレ、それが段々と大きくなる。この子は......綺麗だから捕まえたのでは無い。ただ邪魔者という判断を下し、容赦なく捕らえたのだ。

私は彼女の体を引き寄せて、ただ黙って頭を撫でた。

「うん。偉いね。とても」

それから何年もの月日が流れたある時の事、彼女が強請って来たスプラッタ映画を共に見た。容赦なく手足が切り落とされ、死屍累々の場面が続く。それを彼女は怯えることも、嫌悪感も示すこと無く目に焼き付ける。

「うーん。やっぱり私は銃でぶち抜くよりも、刀でバッサバッサ行く方が好きですねぇ。だってほら、断面が綺麗でしょう? だから少し、自らの癖を反省しているのですよ。害となるものを見つけたら、形振り構わず殺そうとするの。砕けた体は刃で落とした時に遠く及ばず。やはり綺麗では無いのでね」

この時から、この子に鈴を付けようと判断した。何処へ居ても、何をしても、すぐに駆け付けられるように。眼下に置くように。


何時からだろうか? この人に見張られていると確信したのは。あぁ、でも、あの時かも知れない。

校舎の軒下に燕の巣が出来て居て、床下に糞の溜まり場が出来た。皆が皆、避けて通った。だから、私は授業を抜け出して、箒片手に燕の巣を壊そうとしたのだ。

「さようなら。包丁があれば良いけれども、持ってきたらきっと悪いことだから、撲殺にしちゃう」

そう言って、下から棒の先を突き上げようとしたその時、後ろから何者かに抱き締められた。振り向かなくても匂いで分かる。その人は私の体を巣から引き離すと、軽く頭を撫でた。

「駄目だよ。サボるのは」

「でも......」

そう否定するのを拒む様に、彼はただにっこりと笑った。

確信を得たのはその時だ。けれども違和感は前々からあった。

蝶を粉々にしたあの時から、彼は私の髪を必要に撫でるようになった。その時から彼は今日起きた事を聞かなくなった。それまではあらゆる事を聞いてきたのに。

この人は、私に鈴を付けたのだ。

そうして今日も家につく。何も聞かなかった。問わなかった。

「おかえり」

その言葉と共に髪に触れる。何時もの優しい光景だった。けれどもその裏にある思惑にも気が付いている。この人は私に鈴を付けている。

同棲中の彼は人外ですよ。

でも人間の営みを延々と見てきたので、人間の振りをするのは得意な方という生き物。

だから彼女の異常性にも気が付いてます。


元ネタは戦闘狂で、手柄上げたら首引っ掴んで『褒めて〜』という様なキャラ。

そんなんじゃ長生きしないので、出来うる限り前線に出さないで、徹底的に監視下に置くという話。


当の本人も狂人だと分かってるので、褒められれば満足するので、従います。

そんな話。


ちょっと変えました。

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