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あれ……何故だろう……壱筋の涙……? 草稿

   

   あれ……何故だろう……壱筋(ひとすじ)の涙……? 草稿


「人体展……衝撃だったね……?」


「……うん」


「つぎは恐竜さんだよ!」


「……うん」


「鯨の骨格って、指あんだね!」


「大きいな!」


「おお! トリケラトプス!」


「ママ! ピー助だよ!」


「首長竜ね!」


「ねぇ、ブロントサウルスの向こうにあるのギャオスかな!」


「翼竜だよ!」


 ムギュッ!


「どうしたのよ……ああ! レックスね!」


「違うよ! ステゴサウルスのとこ、卵帰ってる化石?」


「ホントだ!」


「サーベルタイガー! マンモス!」


「狼さん怖い!」


「剥製なのかな……リアルだね!」


「お土産コーナーに、入ったら戻れないよ?」


「もういい!」


「狐の襟巻き、ミンクのコート、猫の三味線、鰐皮の財布、蛇味線とか……色々あるね」


「羊皮紙くるくるしてるよ!」


へえぇ! 羊皮紙って珍しいね! 馬毛、狸毛、鼬毛とかの筆も置いてあるんだ!」


「お腹すいた!」


「隣のスーパーでお買い物して帰ろっか!」


「お腹すいた! 酢蛸食べたい!」


「酢蛸ね!」


「ちっちゃい蛸だよ!」


「飯蛸の踊り食いよ! そのまま食べれるのよ!」


「酢蛸……やっぱいい……」


「焼烏賊にする!」


「烏賊か……? 烏賊リング、烏賊墨パスタ、ゲソ天、烏賊そうめんとかあるね……白烏賊、剣先烏賊、槍烏賊、樽烏賊、あおり烏賊、鯣烏賊……どれがいいかな?」


「ねぇ、ママ! 可愛いい烏賊さん泳いでるよ!」


「あっ! 蛍以下の時期何だね! ボイルしてもらう? 酢味噌で美味しいよね!」


「やっぱ焼烏賊……いらない……」


「うわ! 衝撃! 海鼠生きたまんま袋詰めされてる! 赤海鼠、青海鼠、海鼠腸もあるよ!」


「鯵の開き、鯛の兜割り、釜揚げシラス、イサザ、鮟肝、イクラ、鱒子、筋子、トビッ子、数の子、明太子、キャビア、カラスミと、色々御座いますよ!」


「済みません! これ! 参枚(さんまい)におろして下さいね!」


「あいよ! 毎度あり〜っ!」


「ママ! 黒い卵ある?」


「ピータンよ! うわ! ホワグラ脂ぱんぱんね! 焼き鳥、ねぎま、串カツ、鶏卵、鶉の卵か? お肉にしよっか?」


「うん!」


「牛タン、豚タン、ポーク、マトン、ラム、チキン、ロース、カルビ、イチボ、サンカク、ミノ、テッチャン、センズリ、砂ずり、ホルモン、腸詰め、ウインナー、フランクフルト、馬刺し、豚足、どれにする!」


「山賊焼き! ただ今焼き上がりましたよ〜っ! 手羽先、揚げたていかがですか〜っ!」


「ママ! 唐揚げ食べたい!」


「それでお願いします! あっ! すみませ〜ん! それと……牛脂頂けますか?」


「唐揚げか……少しだけ食べて帰ろっか?」


「うん!」


「えっと……クジラの髭のガットの張替え済んだかな? 帰りによらないとね」


「ママ……泣いてるの……?」


「あれ……何故だろう……壱筋(ひとすじ)の涙が……」


「大丈夫だよ! わたしがいるよ!」


「可笑しいな……悲しく無いんだけど……有り難う!」


「色んな命の形があるんだね!」


「ああ……そうね……」

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