あ、バター
仮想空間で自分の好きなアバターになって、一番やってみたいこと、恋愛!
こちらは五十代女性ですが、イケメンキャラ?チャラ男系のアバターを操作して、ナンパしてみまふ。
「ちょっと!おねいさん、今ヒマ?」
「間に合ってます」
「なにが?」
「ヒマじゃないです」
バビューン。女の子のアバター走り去る。背中に背負った祭のうちわ。
む、むつかしい。ナンパって、高度テクニック?
「おじょーさん、愛を語り合いませんか?」
「愛!それは!宝塚!」
「???」
面食らっていると、また去っていった。
向こうから輪っかを持って歩いてくる女の子。
「メタバースやめろ」と書かれている。
「なんすか?これ」
「流行ってるの!」
「流行り?」
メタバースの土地が法外な値段で取引されたとニュースが目の前を流れていく。
「おうおう、にいちゃん、おのぼりさんか?」
「はい。実は中の人はおばちゃんです。お手柔らかに」
「私も実は女です」
ヤクザ風のアバターが腹巻きに両手を引っ掛けてオラオラしながら言った。
「若い男の人の気持ちが知りたくて……」
「もうちょっと他の手段なかったんですか?」
「うーん」
以上、現場からでした。