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2.5 ヒロインちゃんとホームルームと不幸の神

入学式でカンペを作ってもらっていたヒロインちゃん。

そしてサブタイで出オチ。


入学式が終わり、支持されたクラスへと移動中。

門の前でお会いした人のように、平民にも分け隔て無く接してくれる人が居るといいなぁと思いながら。


教室に入ると担任からおのおの席を指定され、その席へと移動することになるのだが、


「おい、リリアーヌ。お前はあそこの隅だ」


「は、はい」


指示された席は教室の一番奥、やや日当たりが悪い上に教壇から最も遠いので教師の声も聞こえにくい、そんな席だった。

学園としては、あまり平民が目立つのは貴族への配慮もあってあまり宜しくないので、上位にはいるけどトップ争いはしていない、そんな順位にリリアーヌを落ち着けたかった。

また、平民が目立ちすぎると、自尊心だけ高い貴族からの嫌がらせがより悪質化するため、少しでも嫌がらせを減らしたいという思惑も無くも無かった。

そんな学園の思惑は置いておき、リリアーヌが指定された席に向かおうとすると、他の令嬢がその席に座ってしまった。

その隣も更に他の令嬢が座ってしまったため慌てて担任の方を見ると、担任はため息をついた後、


「すまんな、席はこっちに変更してもらえるか」


そう言って指定されたのは最前列の中央付近だった。


「えっと、本当にこの席で宜しいのでしょうか?」


前の席よりこの席の方が嬉しいけれど、本当に良いのだろうか・・・?

そう思いながら、最初に指定された席をもう一度見てみると、そこに座っていたのは門の前で出会った令嬢だった。

もしかして、平民だからと隅の席に追いやられるのを事前に阻止してくれたのだろうか?

そんなことを考えながら、私は新しく指定された席に座りました。


しばらくすると担任が水晶のような物を持って教壇に上がりました。


「では、これから順番に自己紹介と魔法適性の検査を行ってもらう。事前では無くこの場で検査を行うのは、クラスメイトの適性を各自で把握してもらうためだ。ではまず、ヘンリー公爵家の令嬢からだ」


公爵家令嬢!?

そんな雲の上の人が同じクラスに居るのですか!

また怯えが出てきて体が少し震えてきました。

しかし、壇上に上がった人を見て、その震えは落ち着きました。


「私はヘンリー公爵家のマリアンヌですわ。皆様、よろしくして差し上げますわ。そして私の魔法適性は」


そうして彼女は水晶に手をかざしました。

すると水晶からは黒い光があふれてきました。


「見ての通り、強い闇属性でしてよ」


そう言ってマリアンヌ様は自分の席へと戻られました。

他のクラスメイト達が何か騒いでいますが、私は今見た黒い光に心を奪われていました。

深い深い黒い色。

その色から何故か目を離せず、光が消えた後もそのまま呆けてしまっていました。

そして気がつくと、他のクラスメイト達が自己紹介を始めていました。

しかし、マリアンヌ様ほど強い光となる人はなく、それどころか黒い光はマリアンヌ様だけでした。

その光景を見ながら、私の適性は何だろう?と考えていると、


「では最後にリリアーヌ嬢。自己紹介を」


「は、はい!」


ついに私の番になりました。

そして壇上に上がると、他のクラスメイト達の視線がよく分かりました。

「たかが平民がどうしてこんな場所に」「場違いが過ぎる」「なぜ辞退しないのだ」

悪意と侮蔑が混じった目が私の方に向いているのです。

そうでした、私が居るのは上位貴族が多数を占めるクラスだったのです。

そのことを実感すると、体の震えが再び現れ・・・

しかし、その時ふと私の目に入ったのは、教室の隅から私の様子を見守るマリアンヌ様達の視線でした。

そうだ、このクラスにはマリアンヌ様達がいらっしゃるのだ。

頑張らなくちゃ!


「わ、わ、わたしはリリアーヌと申しましゅ!よよよろしくお願いしましゅ・・・」


噛んだ!

噛み噛みだ!

やっぱり私なんて・・・

早く自己紹介と検査を終わらせようと思い、慌てて水晶に手をかざすと


「えっ、ええぇぇえええええ???」


教室中が真っ暗になりました。


え?え?

周りを見渡しても真っ暗。

誰かに助けを求めようと見渡しても真っ暗。

ど、どうして?

何が起きているの?


混乱の極致にいた私を助けてくれたのは、またしてもマリアンヌ様でした。


「その水晶から離れなさい、この平民娘が!」


もしかしてこの水晶が原因!?

そう思いながら手を離すと、真っ暗だった教室が一気に明るくなりました。

担任も他のクラスメイト達も私の方を唖然とした顔で見ていましたので、私は慌てて最後の挨拶をしました。


「け、敬愛する、ま、マリアンヌ様と同じ色です!ううううれしいでしゅ!」


また噛んだ!


リリアーヌは恥ずかしさから下を向いたまま席に戻ったため、クラスメイト達の困惑した顔やつぶやきが彼女に届くことはありませんでした。

そう、「け、敬愛!?あの冷酷女を!?」とか「ええ、あの娘、あんななりで闇属性の高位適性者なの???」とか。

そして、件のマリアンヌが人を視線だけで殺せるような殺意を乗せてにらんでいることも。


頭がゆであがって席に戻ることに必死だったリリアーヌには全く届いて居なかったのでした。

そして席に戻って少し落ち着いたとき、リリアーヌの背後からふと声が聞こえた。

それは酷く落ち着いた声で


「いや、リリアーヌさん?不幸の神の僕が取り憑いている以上、君本来の適性関係なく闇属性だからね?」


「そうだったのですか!?それでも嬉しいです!」


不幸の神が話しかけると、そういえば!と思い出してもやはり気にしないリリアーヌだった。



リリアーヌ「マリアンヌ様と同じ色で嬉しい!」

クラスメイト「冷酷女を敬愛する闇高位適性者・・・関わったら消される!?」

マリアンヌ「絶殺!」

みんな仲良し。


少しでも笑っていただけたら幸いです。

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