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悪役令嬢と学園入学

ガチの悪役令嬢とヒロインちゃんでコントにするにはどうしたら良いの?

ご都合主義におもねれば簡単だよ!

と、寝ぼすけな頭に天啓(偽)が降りてきました。

一部に不快と感じる表現がありますのでご注意ください。


ここは筆頭公爵家の長女の私室。そこには3人の令嬢が楽しそうに話し合っていました。


「あーははははは、昨日のあの娘の顔、最高でしたわね!」


「ええ、自殺を止めたときの怒りと、その後の絶望・・・最高でしたわ」


「本当にもう、この瞬間がたまらなくてたまらなくて・・・ふぅ」


悪女と名高いヘンリー公爵家令嬢マリアンヌ、その悪友のワトスン侯爵家令嬢ヘレナ、ズトナ伯爵家令嬢ソーニャ。

彼女たちは先日までいたぶっていた男爵家令嬢の話で盛り上がっていたのだった。


「ほんとにねぇ、死んで楽にさせてあげるわけ無いでしょうに」


「そうそう、「あなたが死のうが構わないが、そうなれば父や弟をいたぶるだけだし」って言ったときのあの顔!」


「そう!もうあの顔を思い出す度にこう、背筋にゾクゾクとしたものがきて・・・良い感じですわ」


彼女たちの趣味は弱者をいたぶること。

筆頭公爵家、またその側近として国の重要ポストを担う侯爵と伯爵を親に持つ彼女たちは、小さい頃からやりたい放題であった。

その後始末を可能にする権力があるからこそ、彼女たちの行為はどんどん苛烈になっていった。


「しかし、あれだけ弱ってしまっては、しばらくは無理でしょうねぇ」


「ええ、やはり反応が無ければ面白さも激減してしまうというもの」


「となると、明日から始まる学園で新しい獲物を見つけなければいけませんね」


「「「ふふふ・・・」」」


傍目から見れば美少女達の笑顔咲き誇る、微笑ましい会話風景。

会話の内容は最悪だが。


「それでは皆様、また明日お会いしましょうね」


「ええ、それではまた明日」


「学園の入学式にて」


こうして彼女たちは明日の学園入学に備えておのおの準備を整えるのであった。

その学園で、彼女たちの人生を大きく変える出会いがあることを、未だ彼女たちは知らない。








そして翌日の、学園入学式。


学園に着いたマリアンヌの目に映ったのは、門の前で緊張した様子でたたずむ少女。

見覚えの無い姿から高位貴族ではなく、服装からおそらくは平民。

まさに格好の獲物。

そう確信したマリアンヌは声を掛けることにした。


「おやおや、臭い匂いがすると思えばこんな所に平民が。一体何を考えてこんな所にいるのかしら?」


まずは先制のジャブ。

反応を見て、次の台詞を決めようと考えていると


「え、あ、ああぁ・・・」


なるほど、見た目通り気の弱い人なのね。

じゃあどんどん押し込んで行きましょうか、ふふふ。


「そうよ、みすぼらしい格好のあ「ありがとうござしゅ!」・・・って?」


え?

今この子、何を言ったの?


「このご恩は忘れません!私、リリアーヌと言います!ありがとうございました!!!」


そう言ってお辞儀をした目の前の少女は、そのまま勢いよく門をくぐって走り去り。

あとに残ったのは理解が追いつかないマリアンヌのみ。


「え?え?」


何を思ったらお礼を言うの?


「意味が分からないわ・・・」


いきなり出鼻をくじかれたものの、怒りより意味不明な困惑が彼女の意識を占めたのであった。


その後、ヘレナ、ソーニャと合流したマリアンヌは、途中で見かけた下級貴族にきつい言葉を吐いてはビビらせながら入学式会場に入っていった。








そして入学式が始まり、壇上では光り輝く頭を持つおっさんが何かをしゃべっているが、


「ねぇ、あなたたちはいい人見つけた?」


「ええ、良い感じの獲物を見つけましたわ」


「ちょっとおかしな行動だったけど臆病みたいで、しかも平民ですわ」


平民?

そういえばと、門の前で出会った桃色髪で背の低めな平民娘がマリアンヌの頭に浮かんだ。


「それは何より。私もちょっとおかしな言動をしていた平民娘を見つけまして、彼女を次の獲物に選んであげましょうかと思っていますの」


「まぁ、もしやその平民娘は桃色の髪で、背も低めでした?」


「ええ。あなたたちが見つけた獲物は、もしや・・・」


「どうやら同じみたいですね」


「では意見も一致したみたいですし、次の獲物に決定ということで」


「「ええ」」


と、物騒な話を堂々としている令嬢トリオであった。


そうこうしているうちに光り輝く頭を持つおっさんは話し終えたみたいで、次は新入生代表挨拶。

今年は王太子が入学するので、慣例通り王太子が呼ばれるのかな?と思いながら壇上を見上げると


「は、は、ははははじじじめめめめめままましゅ・・・あぅ」


さっきの平民娘が居た。


「はぁあああああ????」


慌ててお口を手で押さえるも、動揺はまったく収まらない。

何であの娘があんな所に???

まさか、こんな場所でも迷うほどの愚かな娘だったとは!!!

と思っていれば、


「えー、このリリアーヌ嬢は入学試験での筆記試験満点だったため、規則に基づき新入生代表挨拶を行ってもらうこととなりました。それではリリアーヌ嬢、どうぞ」


は?

満点???

いや、おかしいでしょ???

あの筆記試験、『満点を出さない』ようにしてあるはずよね!?

満点を出したら『身分を問わずに』新入生代表挨拶。

だからこそ『身分で代表を決めるため』満点にならないよう解けない問題が必ず設問されているのに!

私も1問だけどうしても解けなかった。

王太子も代表で無いことから、私以上に英才教育を施された彼でさえ解けなかったのだろう。

だと言うのに、この平民が解いたというのか!?


プライドを酷く傷つけられ、怒りが腹の底からあふれ出てくる。

今なら人を視線だけで殺せるのでは?

それほどまでの殺意を視線に乗せ、マリアンヌは壇上にいるリリアーヌを睨み付けていた。


なので、リリアーヌがこのとき何を言っていたのかマリアンヌは全く聞いていなかった。

まぁ、そもそも初めから聞く気は全くなかったのだが。




件の難問さん。

問:5年以上冒険者最下層にいる人間が辿る未来の内、上位3つを順に答えなさい

解:1.冒険中に死亡、2.奴隷落ち、3.スラムの住人


順番に答える、と言うところで殆どの人が間違えます。

残りの人は、何処かに引退や転職と書いてしまいます。

なお、4位以降は盗賊や犯罪者などが続きます。

基本的に貴族か高等教育受けた平民しかいない学園入学で出す問題では無いという。。。

なお、途中で転職するような人は長年最下層に居ない、という世界設定です。

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