命をかけて
俺が転生してどれほど経っただろうか。
今日も母さんは俺を着用している。
おいおい週3だぞ……
タンスに仕舞われた記憶が1度もないんだが?
感覚でわかるのだが、そろそろワイヤーが露出する。
多分俺が死ぬのももうじきだ。
今は母さんがスーパーに買い物に行った帰り道である。
ネギ臭い。
母さんは鼻歌混じりにてこてこ歩く。
相変わらず俺はゆっさゆっさと揺れている。
どうでもいいけど、母さん結構でかいんだよね。
だからこそ一歩一歩の衝撃が重い。
俺もだいぶゴムが伸びた気がする。
そんな事を考えていると……
「おい!おばさん!」
後ろから母さんに声を掛けてくる輩。
視界は真っ暗だが、母さんの肩に手を掛けたことで、微かに俺にも触れたのだ。
「はい?どうしたんですか?」
「おばさんちょっと付き合ってよ」
「え?」
多分男に手を引かれているのだろう。
先程とは違った方向、違った強さでゆさゆさする。
「は、離してください!」
母は必死に抵抗をしているのだろう。
俺はゆさゆさ揺れる。
「すぐ済むからさ」
男は歩みを止めたのだろう。俺の揺れも収まった。
くそっ。視界が暗くて状況が掴めない。
「やめてください!警察呼びますよ!」
母さんは必死に抵抗しているのだろうが俺の揺れから察するに上手く逃げれていないのだろう。
どうすればいい?
俺はどうすれば……
先程からだろうだろうとしか言えてない状況に自分でも腹が立つ。
「あっ!」
俺は目の位置をブラの肩紐まで微動させる。
すると微かに外の景色が見えた。
20過ぎぐらいの男が無理やり母さんに手を出そうとしている。
させるか!
俺は女神様にもらった特別な力を使う。
そう。超能力だ。
俺は母さんの胸を自由に操れる。
俺は母さんの胸に重さを加え思いっ切り男の顔まで発射する。
ちぎれんばかりの勢いで突進していく2つの爆弾は男の鳩尾に突き刺さり、そのまま家の壁まで吹っ飛ばした。
母さんは何が起こったのか分からなかったようだが、それが逃げるチャンスとわかると走って家に帰ったのだった。