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プロローグ~前奏~

某有名ラノベの堂々の完結を受けて、半年ぶり(?)くらいに創作意欲が高まり、よし、続きを書こう!と思ったはいいものの、プロットの書かれた紙はとうに消え、頭の中にあった先の展開等も、全て忘れてしまいました。よって、新作を書くに至りました。久々すぎるのでまだリハビリとして、(休止前と大差がないということは、言わないお約束)プロローグのみを投稿しました。


学生であり、受験生なので更新速度はかなり遅いと思います。

また、本作はpixivにも掲載しております。


それでは、よろしくお願いします。

 ★


「それ」は突然やってきた。僕の元へとやってきた。高い空からやってきた。

 何がやってきたかというと、女の子らしい。ラブコメかよ。どれくらい高い場所から落ちてきたのかは知らないけれど、受け止めてあげないとヤバそう。うん、ヤバいねコレ。

 そう思って僕は受け止め体勢に入ろうとする。


 スローモーションで落ちてくるなんて、そんなラピ〇タのようなことは現実世界ではまず有り得ないはず。飛行石を持ってるんでもあるまいし。現実なんだから、物理法則はいつだって正しく作用する。これが走馬灯のようなものだと、しっかり分かっていれば、腕を伸ばしたりはしなかったろう。すごい速度でかなりの高さから落ちてきた結構な重さのものに。


 それが僕の掌に触れ、そして。


 次の瞬間。なんというか、その、とてもいやーな音がして、僕の右肘は有り得ない方向に曲がった。


 くっそ痛い。超端的。その五文字は叫ぶ間もない意識の消失に起因している。


 ありえない方向に曲がったそれがクッションになったのかは、定かではないが、激痛で意識が飛ぶその寸前の走馬灯のような短く、それでいて引き伸ばされた瞬間に、上から降ってきた女の子が少なくとも生きていたのを、僕は見た。




 目を覚ます。白い部屋に、蛍光灯。ほのかに香る消毒液の匂い。病室にいるらしい。


 右腕の感覚がない。ごっそりない。どれくらいないかと言うと、右腕が無いくらい感覚がない。むしろ右腕は既に無いまである。うん。普通に右腕無いね。




 ……っていやいやちょっと待て腕が無い!?!?




 冷静に考えれば(というか、右腕がない状態でなんで冷静に考えられるんだっていう話だが)、肘が普段と逆の方向にしっかりと曲がって、腕がちゃんと機能するとは到底考えられないし、付いてるだけ激痛製造機にしかならないだろうと考えたら、切断はもっともな判断とは言えるかもしれない。いや、言えるかな……?


 親族の同意ぐらい得て欲しいものだが、生憎僕には心配してくれるような親族もいないし、痛くないうちに切ってもらえてよかったのかもしれない。いや、良かったのかな……??


 ……本当、なんで僕こんなに冷静なんだろう。僕は自分が気持ち悪いよ。もうちょっと嘘でもテンパれないの、僕?


 折れていない、無くなっていない(はずだ。僕はそう信じてる)左腕には微かに感覚がある。何か、ぼんやりと暖かい。


 首から下の感覚が曖昧だから動かすことは出来ない。つまり、本当にちゃんと付いているのか確認できない。まず、左腕の生存を確認するには、右手で布団を捲らないといけないんだけれど、その右腕がないんじゃあ、お手上げだ。まぁ、あげる右腕もないけどさ。


 10分ほど経つと、首から下の感覚が徐々に戻ってきた。


 一応申し訳程度に鍛えてはいた腹筋で、なんとか上体を起こす。


 左腕もついてきていた。左腕はほぼ無傷のようだ。ほっと胸を撫で下ろそうとした。が、右手は無いので左手で撫で下ろそうと手を持ち上げる。


 その左手には、右手がついてきていた。


「うぉおぉぉおおぉぉをぉぉお!」


 思わず声を上げる。冷静になってちゃんと見れば、その先には僕のものではない体が付いていた。


 さすがに、どんなヤブ医者でも切断した右腕を左腕に握らせるようなサイコな医者はいないらしい。

 まぁ、ヤブ医者ではないんだろうけどここの医者。


 その人は寝息を立てて眠っていた。女の子だ。きっと、助けた(?)女の子だろう。


 僕の知る限り、女性で僕の手を握るなんて、一人しかいない。男だともう居ない。おいそこ、ぼっち言うな。確かにぼっちだけど、左腕さえ取り残されてぼっち状態なんだから、今更言わないでくれ。悲しくなるでしょうが。


 軽口はともかく、「良かった、ちゃんと生きてた。」と、寝ている彼女には聞こえていないであろう独り言をこぼす。


 上体を起こして、状況を確認する。それしきのことで疲れきるほど、僕は全体力を養生に費やしていたらしい。


 そのまま、眠ってしまった。




 翌朝。翌朝?


 日付が一週間飛んでいる。


 寝る前、日付を確認しなかったので事実はどうか分からない。ただ、ひとつの手がかりは、覚えている最後の日付。僕が女の子を助けた日。

 つまり、考えられる可能性は3つだ。


 ①事故で意識が飛んでから6日間、目が覚めず、6日目に目が覚めて、寝て、今日を迎えた。


 ②事故当日、腕が切られた後に目が覚め、それから6日寝た。


 ③それ以外。


 まぁ、どっちにしろ右腕は無いし、体も寝る前よりは軽くなっているし。

 あれだけ体が重かったことを考えれば、以外とあれは事故当日の事だったのかも。

 つまり6日間、ぶっ続けて寝てたってことか。確定ではないけれど。


 無事な左手には、今日は右手がなかった。





 特に趣味もなく過ごしてきたけれど、それでも、利き手である右手がないとなると、そこそこ辛いものはある。

 まず、食事。ここの看護師は嫌がらせのつもりなのか知らないが、食事を運んでくる際、スプーンやフォークなど、逆手でも扱いやすい食器ではなく、箸を用意する。毎回フォークを持ってきて欲しいと頼むが、毎度毎度箸を持ってくる。めちゃくちゃ食べづらいんですよ?今度は頼むぞ……?


 しかし、これから先左手のみで生きていくことを考えたら、案外、左手で箸を使う練習を今のうちにしておくのは得策なのかもしれない。嫌がらせ呼ばわりはさすがにちょっと酷かったかも。


 続いて勉強だ。仮にも高校生として、ある程度は勉強しなければならない。まだ受験ではないけれど、それでも落第したら色々めんどくさい。それは避けたい。

 しかし。まず、生きていなければ学校には行けない。生きるためにはお金が必要だ。お金を稼ぐためには、学生の僕はバイトをするしかない。そして、バイトするためには2本腕が必要なのに、1本しかないので雇ってくれるバイト先があるかわからない。普通に退院したら生きて行けなくなる可能性がある。というか、この治療、入院の医療費どうすんだよ?払いきれないぞ?マズい。実にマズい。学校云々の前に僕の命が危ない。……こんなことは今考えたところで仕方がない。気が滅入るだけだ。やめよう。


 それにしても病室は1人だ。たまに看護師は来るけど、まぁ、事務的な対応ではあるのでつまらない。スマホは多分どこかにあるんだろうが、所在が不明。本の類もないし、ゲーム機なんてあるわけないし、勉強用具もあった所で利き手がないし。って、よく考えたら右手あっても暇だよな、病室。


 そしたらやることはひとつ。


 寝る。逆に寝る以外なんかやる事あるのか。ないよな。文句も同じくねぇな?おやすみ!!





 目を覚ませば、またもや左手に温もり。左手のその先には右手がある。


 ああ、やっぱこの人か。僕はこの人の名を知らない。そして彼女は、(多分だけど)僕の名を知っている。


 推測の域をまだ脱せないが、きっとこの人が僕が粉骨砕身 (ガチ)して助けた人なんだろう。


 どうしてここにいるのか、この人は本当に僕が右腕を犠牲に助けた少女なのか。訊いておきたかったけれど、気持ちよさそうに寝ているので起こすのは気が引ける。起こさずそっとしておいた。しかし、寝る前にも言ったように、寝る以外することが無い。しかしながら、寝て起きてまた寝ることが出来るほど僕のニートスキルは高くないので、寝られない。よって僕は、恐らく初対面であろうこの少女をぼんやりと見ていた。ぼんやり。ただぼんやりと。ぼんやーりみていた。もしかしたら、本当は見ていなかったのかもしれない。途中で目の前の女の子と目が合った気がするけど、多分気の所為でしょ。だってそもそもこの部屋には僕以g…………。


 居た!!!女の子居たわ!!!!超目の前にいるわ!!!!忘れてた!!!!!

 途中から僕の脳と目はスクリーンセーバーモードに移行していたらしい。まっっったく気づいていなかった。


 内心テンパりながら、それでも目は合わせたまま。いや、単にテンパりすぎて動けないだけなのかもしれない。


 とんでもなく気まずい。どれくらい気まずいかと言うと、満員電車の中で嫌いな上司に壁ドンした体勢のまま目的地まで揺られるぐらい気まずい。そんな気まずい沈黙がこの場を支配する。


 どうすることも、うんとかすんとか言うことも、出来ぬままの僕。


 その沈黙を破ったのは、目の前の少女だった。


「初めまして……。」


 これが、彼女が僕にかけた初めての言葉であり、そして、この色々欠けたラブコメの幕開けの合図だった。

読んでいただきありがとうございました。続き頑張って書きます。


拙い文章ですが、一生懸命書いたつもりです。気に入って頂けたら、評価、ブックマーク等頂けると大変励みになります。感想も、貰えると激しく喜びます。感想と言わず、文句、クレームも絶賛募集中です。


本当に、ありがとうございました。

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