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その道具箱に詰めるのは  作者: リア狂
転移編
4/22

魔術のこと

説明回の2

 ユウトに魔術を教えてもらうことが決まって、俺は結構ワクワクしていた。というのも、元の世界ではライトノベルを結構読む方で、魔術とか魔法とかそういう物への憧れもあったからだ。


「まず、一口に魔術と言っても、大きく分けて2つの種類がある。細かく分ければもっとたくさんに分かれているけど、とりあえず2つがわかっていればいいかな」

「さっき言ってた『理論魔術』ってやつか?」

「そうだね。もう一つは『感覚魔術』と言うよ」

「そっちは攻撃的な感じってことか?」

「必ずしもそうではないけど、攻撃魔術は感覚魔術に分類されるね。理論魔術は、さっき言った通り魔術研究とか魔道具作成とかを行うのに対して、感覚魔術はイメージの力で現実を改変するのがメインだね」

「イメージで?」

「そうだよ。まあそれだけじゃ難しいから、魔術陣の構築が必要なんだけどね」

「魔術陣?」

「魔術陣っていうのは、魔力で作った・・そうだね、魔術を発動するための道しるべみたいなものかな?魔法陣を想像してもらえればわかりやすいかもね」


 なるほど。魔術陣っていうものにそってイメージを固めて、魔術を発動する感じなのか。


「それじゃあ、魔術陣を作れれば魔術が発動できるってことか」

「その通り。魔術陣はあらかじめ書いておいたものに魔力を通して使うこともできるし、その場で自分の魔力から作ることもできるよ」


 ユウトにあらかじめ書いてある方の魔術陣を見せてもらう。かなり複雑で、咄嗟に作るのは難しそうだ。


「こんなのを即席で作れるのか? 魔術師の頭はどうなってるんだ・・」

「もちろん、イメージと魔力操作だけでこれを作る人もいるけど、希少だね」

「簡単な方法があると?」

「詠唱、かな」

「呪文みたいなものをってことか」

「そうだね。呪文を唱えながら、その魔術に込めたい魔力を練ることができれば、簡単に発動できるから、感覚魔術師の大半がこの方法を使っているね」


 にしても呪文詠唱・・恥ずかしくないようなのでお願いしたいのだが・・


「んー例えば・・『クリエイト・ウォーター』」


 ユウトがそう唱えると、彼の前に複雑な幾何学模様が展開され、水の球が現れた。感動だ。


「こういう初歩的な魔術なら、こんな感じで短く済むんだけど、規模が大きくなればなるほど詠唱も長くなっていく傾向にあるね」


 本当にライトノベルの世界みたいだ。俺も早く使ってみたい。


「どうすれば使えるようになるんだ?」

「まずは魔力操作の感覚からかなー」


 こうして俺は、異世界生活エンジョイの為に、魔術の練習を始めた。


 ーーーーー


「ぐはぁ・・疲れた・・」

「今日のところはこれくらいかな。少し早いけど夕飯の支度をするよ」


 あの後、昼食も摂らずに魔力操作の練習をしていたのだが、それがまたひたすらに地味だった。幸いセンスはあるようで、自分の魔力を感じられるようになるまでは難しくなかったのだが、魔力を『練り上げる』というのが難しかった。

 始めはこねるようなイメージでやっていたのだが、どうにもうまくいかず、今は圧力をかけて固めるイメージでやっている。

 慣れていない今は猛烈に集中しなければならない上に、全身に力を入れなければならず、かなりキツい。これが初歩だというのだから、魔術も簡単ではないということだろう。


 料理はからっきしなので、食器の類を用意して、椅子に沈む。


「俺、魔術使えるようになるのかな・・」

「あはは、まあ初めてにしては筋がいいし、そんなに遠くないうちに使えるようになるだろうから、あまり悲観的にならないで」

「だといいなぁ・・」


 というか今更だけど、なにもお礼とかしてないや。さすがにどうかと思うし、少し気合を入れよう。


「えっと改めて、助けていただいた上に何もかも教えていただいて、あまつさえ泊めてもらって魔術も教えてもらうなんて・・本当に感謝してもしきれません。ありがとうございます」

「そんなに硬くならなくてもいいよ。右も左もわからない同郷の人を、放っておけなかっただけだから」

「本当にありがとう。これからしばらく、よろしく」

「こちらこそ」


 シチューのいい香りに包まれながら、異世界1日目の夜は更けていった。

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