表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新世界の人々  作者: おかゆ
2/3

第二話『誓い』

デドリアルの朝は早い。

多くのパーティーが、様々なダンジョンへ向かっていく。

もちろん、俺たちも例外ではない。

初心者向けのダンジョンである、バルトナ廃鉱へ

向かっている。

昨夜、通った山の頂上にあるという。

「おっ、あれだな」

ウェルナードが、そう言った。

・・・さっき、アデルに他の二人の名前も聞いたのだ。

「はぁ・・・やるしかねぇな」

デルダーレが後を追うように発した言葉には、

どことなく重みがあった。

・・・士気が下がるから、そういった発言は慎んでほしいものだ。

「さぁ、皆さん行きましょう」

アデルが、先頭をゆくとあとの二人も追っていった。

俺も、重い足取りで追っていく。

「真っ暗で何も視えない・・・」

そうポツリとつぶやくと、横から何かが飛び出してきた。

「・・ゴブリンか」

俺は、腰につけた二本の剣を構えた。

「くらえ、ライジングフェイムッ!!」

すると、雷鳴が轟き一瞬にしてゴブリンは、塵と化してしまった。

「お前、ゴブリンって下級モンスターだぜ?

 これくらいたおせるだろ?」

・・・やけに鼻につくことを言うな。

「・・・ありがと」

少し微笑んでみた。

デルダーレの顔が、真っ赤になっていくのが分かる。

「・・ヒューヒュー」

ヴェルナードが、冷やかす。

・・・違うからっ!そんなんじゃないからな!

「ぬぬぬ・・・」

「アデル、お前嫉妬してんの?」

「そんなのじゃありませんよ!!ただ、フィーネさんが

 心配だっただけですっ」

心配してくれるなんて、とても優しい子だな。

「お前ら、茶番はそこまで。先に進むぞ」

・・・ヴェルナード、お前が言うか。

そして、なんだかんだで宝箱を見つけた。

「一体、何が入っているのでしょうか?」

「まぁ、初心者向けのダンジョンだから、そう良いものは

 入ってないだろうな」

「ガレド鉱石とかだったら、売ればまぁまぁするけどな」

「じゃあ、開けますよ」

アデルが、開けるとそこにあったのは・・・

回復用のポーション×4。

・・・俺たちが来るって分かっていたみたいだ。

「くそ、ポーションかよ!?」

デルダーレが、不満そうにさけんだ。

「・・まぁ、無いよりマシだろ」

「じゃあ、引き上げましょうか」

「・・・そうだね」

俺も、アデルの顔を見ながらそう言った。


デドリアルに戻ったころには、すっかり日が落ちていた。

他のパーティーは、酒を酌み交わしながら談笑していた。

そして、机には見たことのない宝玉が置かれていた。

・・・相当、強いパーティーなのだろう。

「おい、見ろよあいつら」

冷たい視線を感じる。

「下級モンスターのゴブリンですら、たおせない

 雑魚だぜ、雑魚ッ!!」

奴らは、俺たちを罵った。

俺は、その瞬間怒りを覚えた。

どうやら、それは皆同じだったようだ。

「・・・おい、すげぇ美人が居るぜ。銀髪の。

 何であんなパーティーにいるんだ・・・?」

俺のことだ。

スケベ野郎共め。

すると、憎たらしい顔つきの小柄なガキが向かってきた。

「ねぇ、美人なお姉さん。俺らのパーティーに入らない?」

コイツ、勧誘してきやがる。

「・・・あなた達のパーティーへ異動するつもりはありません」

「まぁまぁそういわずにさ、入ってよ」

しつけぇ・・・。

「君、超美人だからさはいっ・・うごっ」

一瞬何が起きたのか分からなかった。

理解するのに、数秒かかった。

アデルが、アイツを殴り飛ばしたのだ。

「・・ゴチャゴチャうっせえよ、黙れ!!!

行く気はないっつってんだろ!?」

えっ、アデル・・・?

豹変ぶりが・・・。

「うぅ・・この野郎何しやがる!」

「あぁ?」

「・・ひっ・・くそ、覚えていやがれ!!」

そして、奴らはどこかへ消えていった。

「・・・軽蔑しましたよね・・?」

あっ、いつものアデルだ。

「・・・助かったよ、ありがとう」

そういって、俺は頭をなでた。

アデルは顔を赤らめて泣いた。

「・・アデル、お前は正しいぜ」

「功労者だな」

デルダーレとヴェルナードも、アデルを褒め称えた。

・・うっ・・・!?

頭が・・・痛いっ・・うあああっ・・・。

忘れかけていた記憶の一部が蘇る・・・。

・・・あの時、俺は・・。

そして、俺は気を失ってしまった。


気付くと、あの少女がいた。

「あなたは、何か思い出しましたか?」

「・・・あぁ、俺は高校生で・・・友達3人で・・・。

 えっと・・名前は・・・・思い出せない・・・。とこ

 ろで・・・質問がある」

「はい・・何でしょうか?」

「あの・・・あの勧誘は君が仕組んだのか?」

「・・・はい。あなたを試しました。強くて名声のあるパーティー、

 それとも今のパーティーをとるのか・・・。何故ですか?」

俺は、少し考えて言った。

「・・・あの3人には、温かさを感じた。

 ・・・妙に懐かしかったからだ」

「・・なるほど・・・ではまた」

「え、急に・・」

俺は、また気を失ってしまった。


「はっ」

目覚めると、あの部屋に居た。

アデルが、横に寄り添っている。

おや、気付いたようだ。

目をうるうるさせてこちらへ近付いてくる。

「うわああああん!ううぅぅっ・・てっきりショックで

 死んだのかと・・」

アデルが、抱きついてきた。

温かい・・・。

「おい、心配したんだからな?」

「驚いたぞ、いきなり気絶するんだからな」

二人まで・・・。

このパーティーには、温もりがある。

俺は、決してこのパーティーから離れないと誓った。




 










To be continued・・・

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ