20
最終戦の日。町の独立を祝う奉納大会。
会場の雰囲気は、これまでと同じく満員の観客だったが、雰囲気はどこか硬い。
第一試合から盛り上がりはするが、観客の反応はどこか鈍く、やはりメインイベントのガブリエラ対ダニエラの奉納試合が目的なのだろう。賭けた条件に、これまでの裏切りや前回の本気の前哨戦を通して、どうも今回は毎年のような引き分けは起こらないのではないか? そんな予想や期待の混じった空気が、客席全体から漂っていた。それは聖鬼軍の控室にいた雨雲仮面ことクラウディアでもわかった。
セミファイナルの試合が終わる。メインイベントの案内放送が会場に響き、歓声によって会場がビリビリとした揺れを生じる。
「いきましょう!」と、ガブリエラが拳を叩く。
「おう」と、立ち上がるマクベは覆面姿で。
「ついにきたわね」と、雨雲仮面が控室のドアを開けた。
入場曲と観客からのガブリエラコール。
花道の手前。
カーテン一枚隔てたむこう側、声と音が嵐のように暴れていた。
ガブリエラが姿を表すと、さらにボリュームを増した音の嵐が、ツブテのように四方八方からぶつかってくる。
戦闘モードのガブリエラは、まっすぐにリングの上を見据えて歩きだす。
その視線の先はもちろん、青コーナーで待っているダニエラだ。