15/25
14
《やほー、クラウー》
翌朝になって、使いに出していたニジミから連絡が入った。
彼女がなにかされるという心配はしていなかったが、なにかをしでかすという不安はあった。
「あんたねえ、昨日はどこで油を」
《あのね、ダニエラさんたちね、もう妨害しないって約束してくれたよー》
「ふーん、そう。そりゃよかったわ」
案外骨のない連中である。
《クラウ、あたしえらい?》
「はいはい、えらいえらい。でも用事が終わったんならさっさと戻ってきなさいよ」
《ごめーん。でもね、あとね、おしごと見つけたんだよ、ひとりで。すごい? ねえ、あたし、すごい?》
「はいはい、すごいすごい」
《ってことであたし、もうしばらく帰んないから。んじゃ!》
……。
…………。
………………なぜだろう。
なんだかイヤな予感とめまいがする。
「あれ、クラウディアさん、立ちくらみですか?」
ウォームアップを済ませたガブリエラが、ジムに戻ってきて訊ねてくる。
「ん、まあちょっと」
ニジミの仕事とクラウディアの予想は、その夜のメインイベントで答え合わせができた。
予感はイヤな方向に的中した。