第5話
「ば………」
これは訳すまでも無く、全員わかってくれたようだ。
俺が何を思っているのか。
「処刑って——————」
「どうしてユーマ君が殺されないといけないんですか!!!」
全員が静まり返る。
大声を上げたのは、寧々だった。
「彼は何にも悪いことはしてないし、しません!! 呪いなんてデタラメです!!」
「——————」
キッと目を吊り上げ、王を睨みつける。
俺は、寧々が声を荒げるところを久しぶりに見た。
「其方の名は?」
「知田 寧々です」
「そうか。ネネとやら、お主は異界から来ているから知らぬのだよ。今、人間界を危機に陥らせている諸悪の根源。奴も異界より来た赤子だ」
「!!」
それは、信じるだろうな。
俺は素直にそう思った。
こういう異世界の連中は、思い込みが激しいケースが多いと推測する。
大昔の日本もそうだったように、占いや呪いを過信する。
文化が科学ではないからだ。
「現在魔王を名乗っている彼奴は、もともとこの国にいた。そして、我の息子としてここで暮らしていたのだ」
「息子………!?」
「そうだ。だから、それ以来我は異界より来たる赤子を間引いている。奴らは赤子ながら高い知能と能力を有する。危険因子は消さねば、我らが消されるのだ」
「そんなっ………ユーマ君がそうなるかはわからないではないですか」
「そう、 わからない。なる可能性があると言う訳だ」
「あ………」
寧々は言葉を詰まらせた。
これはだいぶ痛いところをついたと思う。
「危険は取り除く。そう——————危険な思想もだ」
「え………?」
武器が、向けられる。
ダメだ。
やめろ。
そいつを狙うな。
止せ、殺すな、オイ、待て、待て、待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待て待てま゛ッッッ——————