第3話
そして、話しは冒頭に戻るわけだ。
「かわいい!!」
クラスの女子が囲んでいる。
うむ、悪くない。
皆存分にちやほやしてくれ。
「あはは、いつもあんな不貞腐れてる顔なのに、こんなに可愛いんだー」
「あぶぶ」(訳 余計なお世話だ)
「やっぱ何言ってるかわかんないけどかわいい!」
俺はしばらく揉みくちゃにされていた。
良いぞ良いぞ。
もっとこい。
しかし、安寧は続かないものだ。
「ベビーってば本当に赤ちゃんになったんだ!! あははは!! ウケる!!」
「だぶぁ!! だぶぶるぁああ!!」(訳 幸穂テメーベビー言うなっつってんダロ!!)
「って、言ってるよ。赤ちゃんなってもユーマ君口悪いね、幸穂ちゃん」
「いいじゃん口悪いくらい。赤ちゃんなら可愛いもんでちゅねー………ぶふっ」
「あうあー!!」(訳 こいつ!!)
この頭が悪そうな女は、山形 幸穂。
すっぴんの時は大人しそうな顔のくせに、バリバリのギャルメイクである。
「うう、ごめんよ………僕の九◯龍閃のせいで………」
「だばばぶ」(訳 オメーの九頭龍◯だったか。なっちまったものは仕方ない。結果として異世界にこられたのだからなフハハハハ!!)
「だって。気にしてないって言ってるからいいんじゃない? 千葉くん」
「うう………いいやつだなぁ、辺尾くん」
このメソメソしてる奴は、千葉 弘大。
おかっぱで金持ちというまぁ成金の息子だ。
性格はいいので、成金と言われるとショックを受ける。
扱いには気をつけよう。
「いや、チバもユキッちゃんも何で翻訳に適応してるの? 絶対おかしいよね?」
その時だった。
「聞けい!! 異世界人ども!! 我らが国王の御目見えだ!!」
途端にクラスメイトたちが静まり返る。
急な異世界っぽい展開に、俺たちは戸惑いを隠せなかった。