第20話
「そのカーテンの奥に、魔王様がいるの?」
「ああ、そうだとも。特に礼儀は気にしない方だが、一応敬語だけは通してくれ」
エストリカはそう言った。
そういえば、人間界の王城よりは、断然空気が緩い。
どっちが魔界なんだよって話だ。
「じゃ、後は彼について行ってもらって」
「彼?」
すると、奥から執事のような格好をした男が現れた。
安定の黒髪ストレート。
高身長に加えイケメン。
世のブサメン男子の敵の中の敵だ。
と、以前慎之介が言ってたな。
あいつ顔は悪くないが、ところどころ残念だからな。
「コルトゥフ、彼らの案内をよろしく頼む」
「はい、エストリカ様」
コルトゥフはそういうと、執事っぽいお辞儀をして、挨拶を始めた。
「ユーマ様にネネ様ですね? 私は、我らが魔王ユフィエル様の執事を務めさせております、コルトゥフと申します。以後、お見知り置きを」
「知田 寧々です。こっちは辺尾 悠馬君です。あ、知っているんでしたっけ?」
「ええ、存じております。ですが、わざわざ自己紹介頂きありがとうございます。では、参りましょうか」
コルトゥフは奥のカーテンのところまで来た。
すると、直接開けるのではなく、なにやら魔法的なことをし始めた。
「我が主人は知能はあれど、姿は赤子です。なので、このように結界を張っております。解除完了いたしましたので、中へお入りください」
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俺と寧々はカーテンの中に入った。
大きなベッドの上に、赤ん坊が一人。
「あの子が………」
「だぶ………」(訳 魔王………)
どんなやつだろうか?
悪いやつだったらどうしようか。
そうこう考えていると、魔王は喋り始めた。
「………」(訳………)
そして、
「みゅむい!!」(訳 来たな!! 人間どもよ!! くっくっく!!)
あんまり悪そうでもない事に気がついてしまった。