第13話
「魔王って………ツノとか生えてるあれかな?」
「だぶ、だぶだぶ、あう」(訳 いや、俺と同じ赤ん坊だったら人間の可能性が高い。更ににいうと、同郷の可能性もあるぞ)
「嘘!?」
十分あり得る話だ。
おそらく魔王は、国王の話が本当なら、国王の義理の息子。
だったら十中八九人間だ。
「何て言ってる?」
「人間かもって言ってるよ」
「流石にわかるみたいだね。そう、魔王様は人間だ。私達とは違う種族」
エストリカは白衣を取った。
すると、尻尾と黒い羽が生えている事に気づいた。
「これは………」
「これのせいで魔族たちは迫害されている。故に、魔王様は我々をほごッッッ!! は、あ」
「うぃいいい!! だぶだぶ!! ぶー!!!」(訳 すっげー!! 本物だ!! うわやべぇ、カッケェ………!! いいなぁ、 俺のもほしいなぁ!!)
「あ、や、しっぽ、 やめ………ひゃっ!!」
ゴンッッ!!
「だーっ!?」(訳 痛ェ!?)
頭を拳骨で殴られていた。
おいおい、寧々テメー、 児童虐待だぜ?それ。
てぃーぶいだ、でぃーぶい。
「大丈夫? エストリカさん」
「………ふふ、あははは!!」
エストリカは大声で笑い始めた。
お気に召したのか、と言ったらまた殴られたので、もうよしておこう。
「ホントに大丈夫? エストリカさん」
「いや、そんな風に気軽に接してくれる人間が珍しくてね………ふふ」
そんな様子を見た俺と寧々は、顔を付き合わせて同じ事を思っていた。
会いに行ってもいいだろうと。