第11話
「良かったよユーマ君!! もぐもぐ………ん………ふぅ。無事だったんだね!!」
「だばば、うーあ」(訳 何故だろう。心配されている気がしない)
せめて食うのをやめようぜ?
つーか肉持って話すなよ。
「そんなことないよぉ。私これでもユーマ君のこと凄く心配していたんだから」
「ああ。この子はお前が起きるギリギリまで付きっきりだったぞ。丸一日だ。そりゃあ、腹が減るくらい仕方ないだろうさ」
「………あう?」(訳 丸一日、 だと?)
詳しく聞いた話によると、 俺たちが落下したあと、偶然ギリギリ作動していたバリアで落下死を防げた寧々が俺を抱えて走り回ったところ、エストリカに出会って匿ってもらったらしい。
「だぶぶ、あぶる、だ?」(訳 で、魔王軍の参謀どのが何で敵の中心にいるわけ?)
「へー魔王軍………ん? エストリカさん魔王軍だったの?」
「そうだ」
「へー」
へーって。
ちくしょう、俺が赤ん坊の今、慎之介がいないから誰も突っ込めないじゃねーか。
「でも、あの感じだと私たちの味方って人間じゃなくてこっちってことになるよね?」
「だぶだぶ………」(訳 確かに。俺らはもう向こうに戻れそうもないからな………)
「そうだね………」
俺と寧々は頭を抱えて唸っていた。
すると、
「………」
エストリカは唖然と俺たちを見ていた。
「どうしたの? エストリカさん」
「意思疎通が、できるのか?」
「え? できないの?」
いや、お前みんな出来てると思ってたのか。
「………」
そして再び飯を食いだす寧々。
そんな寧々にエストリカが意味のありげな視線を向けていたことには本人は全く気づいていなかった。