倒してイイノ?14話 甲板戦
甲板戦
「やっと止まったね」
甲板に出たところで敵は止まり、こちらを向いていた。私は足に魔力を送り脚力を強化、一気に距離を詰め斬りつける。するといとも簡単に斬りつけられ、倒れた。
「あ、あっけないね……ってそうだ」
一瞬ボケっとしてしまった隙に……あれ、上半身と下半身が離れていたはずなのに、くっつき、立ち上がる。そして、周りから鉄線が現れて、私を捕まえようとするが、飛んで空に逃げる。すると、敵も追って来て、にらみ合い。相手の後ろに朝日が昇り、目がくらんだ瞬間、相手は接近して鉤爪を振り下ろす、すんでの事で後ろに回避、反撃に刀を突く、それは相手の腹に刺さり、私はそれを引き抜こうとしたが、
「のガしマせン……わ!」
そのまま引き寄せられ、正面から鉤爪を叩きつけられた。ただ、それは頭に触れる前に止まり、
「なゼでスの?」
そこから鉤爪が動かないようで、少し驚いたようだが、
「そウでスわネ、魔力干渉シまスわ」
そう言うと、いきなり息が苦しくなった。甲板に戻ると、息は整ったが、なにか足りないような気がして、
「これって、多分防御魔法が解かれたってことなのかな? 私じゃこのリングの力使えないからどうしよもないよ! でも……やるしかないよね!」
刀を構え、下りて来ていた、敵に接近接近、相手は黒い魔弾をばら撒き、接近しにくいが、何とか避けながら接近に成功、鉤爪と刀がぶつかる。そこで私は押し負けたふりをして、回転、逆側から斬りかかり、もう一度倒した。
「よし、あと3回!」
そのまま追撃のために、サモンエッグを取ろうとしが、奪われたままだったことを思い出した。そしてその隙に敵に態勢を整えられた。
「返してよ! 私のサモンエッグ!」
しかし相手は答えず、攻撃を開始、魔弾が飛んでくる。それを刀で斬りつつ、接近、しかし、今度は距離を取られ、海上に逃げられるが、私も飛び、追いかける。すると相手は、いきなり止まり、手を上げて、何か唱え始めた。
「この隙に!」
彼女の胸に刀を突立てた。しかし詠唱は止まらず、二突き、三突きと突くと海に落ちて行った。
「せめてサモンエッグを回収しないと!」
彼女を空中で抱き上げると、鉄兜がとれ、素顔が見えた。その顔はよく知った顔で、
「こ、小麦ちゃん! なんで? 小麦ちゃんがこんな事……」
サモンエッグを盗り、私は冷たくなった小麦ちゃんを連れて、神奈ちゃんと合流することにした。ついでにサモンエッグの数を確認すると、木のサモンエッグは十二個あった。そして、艦内に入ろうとすると、そのドアから、
「……この船はもう沈む、もう出よう。って珠樹、どうした?」
神奈ちゃんとメイドさんが現れた。
「神奈ちゃん、どうしよう……小麦ちゃんが、小麦ちゃんが!」
「……どうした珠樹? 六角に何かあったのか? それに悪魔はどこに行った? 君がやっつけてくれたから、この船は動かなくなったと睨んでいるが」
「私の背中に乗ってる子がそうだよ」
しかし神奈ちゃんは不思議そうな顔をして、
「……珠樹は誰も負ぶってないぞ」
「え?」
そういえば背中が軽い、手を放しても、なにも落ちない、
「小麦ちゃん! どこに行ったの?」
「? ? ?」
こうして私は探しに行こうとしたところを、メイドさんに捕まり、背負われる形で船を後にした。




