友達でイイノ!23話 本物釣り
本物釣り
「いくら、倒しても、キリがないよ!」
ドアの前で防衛戦は続いていた。後ろでは転移魔法を完了し、転移酔いを醒ましている途中のエスキさんと、プリマさんが居た。
「確かにキリがありませんね。どうしますか?」
「うーん、やっぱり僕があれしようか?」
二人が少しわからない会話をしているが、敵は倒している。
「いいえ、もっといい方法があります。当たれば大当たり、当たらなくてもOK、そんな方法です。メールにまとめておきました」
「分かったよ」
そう皐文が言いながら後ろに下がる。そして、スマホをぱっと見て、
「確かにね、これなら……」
「皐文ちゃん後ろ!」
私は思わず叫んだ。ずっと見ていたわけでもないが、少し振り向いたとき、皐文ちゃんの後ろから沈んだ都の王が捕まえようと接近してきていた。するといきなり視界がぐわんと歪み、気が付いたら手を王に捕まれていた。
「なぜだ? あの止める魔法が効かない! 小娘を捕まえたはずだが? まあいい、お前の能力もコピーさせてもらおう」
そう言って何か唱えだしたが、私の能力って何だろう? となっていると、周りの分身たちが消えていった。
「な、なぜだ? なぜ魔力が出ない? これでは分身を維持できん!!」
「変わり身の術、成功! まさかこの作戦って言っていいのかな? 君が勝手にかかったし、でもこれで君はもう無力だよ」
さっきから王はなにかぶつぶつつぶやいているが、何も起きない。
「くそ! 外にある魔力の操作も……! そうか!! これにも体内魔力を外の魔力に混ぜなくてはならないからか! くそ、どうすれば!?」
「積みだよ。王様」
「その通りです。沈んだ都の王」
皐文は威張り、詩織はバインド魔法で動きを封じた。
「このバインドはあなたの力に応じて耐久性が上がります。つまりどれだけ力を入れてもあなたは逃げられません」
「くそ、くそ! くそ!!」




