魔法少女でイイノ? 外伝2 詩織の覚醒
詩織の覚醒
その日私、成水詩織は、親に連れられて、外国に行っていた。6歳の頃だ。
「楽しいね! お父さん、お母さん」
「ははは、何が一番楽しいかな?」
「うーんとね、えーっとね、遊園地!」
「確かに楽しかったわね、じゃあ次はあそこに行ってみましょうか」
家族で楽しい時間を過ごしていた。楽しすぎて、時間を忘れ、午後9時からの遅い夜ご飯の時間だった。私は遊園地で駄々をこねたのを聞いてもらえなかったことを少し怒りながらだったが、宝石を見つけ、
「あれキラキラできれいだね!」
「あれは宝石屋さんよ。じゃあここの近くの料理屋さんに入りましょうか」
と私達は宝石屋さんの近くで夜ご飯を食べることになった。宝石を遠目に見つつ、ご飯が来るのを待っていると、
「もっと昔は共通言語が無くて、国によって違う言葉を話していたんだぞ、まあ今も翻訳機を使っているんだがな」
「へぇー、じゃあどうやってお話してたの?」
「それはね、相手の国の言語を覚えて、その言葉を話したり、理解したりしたのよ」
「へぇー。難しそうだね」
そんな少し為になる話をしながら、夜ご飯が運ばれてきて、
「いただきます!」
「おお偉いな! しーちゃん、ちゃんといただきますを言えて」
「そうね。いい子ね」
と褒められた。その後ご飯を楽しんでいると、近くにあった宝石屋さんが騒がしくなった。
「何かあったのかしら?」
「ああ、気になるな、詩織、これを持っておいてくれ」
と何やら筒状の物を渡される。こういう時のお父さんは恰好が良い。いつもはだらだらなのに、問題があると正義の味方みたいにすぐ解決してしまう。そのままお父さんが宝石店に向かうと一時静かになった。しかし、
「用心棒の先生を呼べ!」
そんな大声が聞こえた後、何やら轟音が響き、また騒がしくなった。するとお母さんが、立ち上がり、端末で支払いを済ませた後、
「少し離れるわよ」
と真面目な顔で私に言う。
「待って、お母さん、お父さんが……!」
「大丈夫よ。お父さんは正義の味方だから!」
「でも!」
怖い事になっているの分かる。でも、お父さんの勇姿が見たい。その一心で私はお母さんの手を振り払い、宝石屋さんに近づく。人込みから見ると大量の血が人の足の間から見える。足を押しのけて、前へと進んでいくと、
「お父さん!?」
思わず筒状の物を落とした。私の目に映ったのは、血だまりの真ん中にお父さんが倒れている光景だった。
「お父さん! 大丈夫? お父さん!」
動かない。そして血が出ているのも分かる。私は顔が白くなっているのが自分でもわかる。でも、何とかしないと、えっと血を止めないと! そう考え、ハンカチでお父さんの傷口を抑える。
「お父さん! お父さん!」
しかしそれを犯人は見逃すわけがなく、
「お嬢ちゃんのお父さんなんだ、へぇー。じゃあ、私達の邪魔した対価を払ってもらおうかしら!」
その声に反応して私は上を見上げる。そこには怖い顔をした女性が、刀を構えて見下ろしていた。怖い! でも、でも! お父さんをここに置いていけない! そう考えている間に女は刀を振り下ろす。怖くて目をつぶってしまった。しかし痛い感覚はなく、右に押された感覚はあった。そっと目を開けると、私は誰かの腕の中に納まっていた。
「今よ、しーちゃん。逃げなさい」
お母さんの声と共に、私はその腕から解放される。怖い怖い怖い! 逃げようとして、でも、足がもつれ転ぶ。痛い、でもどうにかしなきゃ。そうだ助けてくれた人なら! そう思い、助けてくれた人を見ると、
「お母さん!」
涙を流し、お母さんは私を逃がしたが転んでしまったことにより不安そう、いや絶望した顔で、刀で斬られた。ダメだ、もう駄目だ! 私はお父さんに渡された筒状の物を抱え泣き出した。
何かが体の中で暴れまわる、いや渦巻くのを感じる。それと共に筒状の物は熱くなり、光を放つ。そして、お父さんが大事にしていた、カードがこちらに飛んで来た。そして筒の中に入っていく。渦巻く力が私の体より大きくなる。すると私の周りに風の渦ができる。まるで私を守るように、それは段々大きくなり、ついには宝石屋さん全体ぐらいまで大きくなった。
「何かしら! この小娘は!」
女は刀を構えられなくなり、防御に入っている。ほかの強盗は壁に張り付いて、気を失った。野次馬も同じだ。私何処からともなく力が湧いてきた。女に向かいあいつを吹き飛ばせと手を伸ばす、しかし、暴風は女を襲うが、吹き飛ばせない。
「くっ、この魔術、を斬るって、言われてる、魔斬り、が無かったら、危ない、ところだったわ」
その声聞いて私は作戦を変える。割れたショーケースのガラスや宝石を手の周りに風で渦巻かせ、ぶつけた。
警察
女は、いろんなものがぶつかり、倒れた。一番困ったのはその後だった。私はこの能力を使いこなせず、周りが手を付けられない状況だった。そこに来たのが、風よけを作って近づいてきた仙人っぽい老女だった。
「お婆さん、近づいて大丈夫なの?」
「ああ、大丈夫じゃ。ん? お主、その筒を開けなさい」
筒を開けると、私の周りを光が包んで、お父さんを感じた。
「それは魔術師が代々引き継いできた物じゃ。それさえあればお前さんはもっと強くなる、後風が止まったじゃろ」
確かに風は止まっていた。なんでだろ?
「お主の筒に入っておった札のおかげじゃなそれは兵科札と言って、持っておるだけだと、魔力を抑え、使うと、4つの兵科の武器が使えるという代物じゃ、それを持っていれば風は止まろう。この風はお主が魔力で知らず知らずに作った物じゃからな」
「じゃ、じゃあこれは私がやったの?」
「そうじゃ。だからお主はこの能力を抑える力を手にせねばなるまい。どうじゃ? 儂なら一緒におっても大丈夫、それに抑える能力も教えられる。一緒に来んか?」
私は少し戸惑った。けど私は刺し伸ばされた手に縋り、涙を流しながら、
「よろしくお願いします」
と返事をした。その後の修行で少しは抑制出来るようになり、3年で免許皆伝をいただき、私は世界傭兵派遣会社に入る。私みたいな犯罪などに巻き込まれて泣いている子を助けるために。




