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魔法少女でイイノ?  作者: 月読雨月
九章 魔法少女でイイノ!!
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魔法少女でイイノ? 外伝1 小麦と珠樹

 小麦と珠樹


海で流される


「こむぎちゃん、待ってよー」

「早く行こうよーたまきちゃん」

私は小麦ちゃんを追いかける。気分は最高だ。久しぶりの海、はしゃがないわけがない。二人とも浮き輪を付けたまま、海に向かって行く。海に入ると、お兄ちゃんも付いてきて、

「おいおい、二人で海に入ったら危ないだろ。兄ちゃんが付いていくから、声を掛けてな」

「そうだった!」

「大丈夫よ」

と私はうっかりしていた事を謝り、小麦ちゃんはふん、と嫌そうな顔をした。しかし、お兄ちゃんが、私達の浮き輪を引いて泳いでくれて、私は楽しくなり、小麦ちゃんも楽しくなった。

「そろそろ帰るわよー」

とお母さんたちの声が聞こえる。けど私達は、

「いや!」

「いやよ!」

と拒否をした。すると、小麦ちゃんのお母さんが、

「プリンあるわよ~」

と言ってくる、すると小麦ちゃんは、

「プリン食べる!」

あ、お菓子につられた。しかし私は、

「まだ遊ぶもん!」

とまだダダおこねる。

「珠樹、もう帰る時間だ。だから」

「やだ!」

「たまきちゃん、かえろ?」

「ヤダヤダヤダ!」

その瞬間、お兄ちゃんがすごい力で、浮き輪を引っ張る。私は嫌がって、お兄ちゃんの手を噛みついた。

「「小麦ちゃん! 珠樹ちゃん!」」

お母さん達の鬼気迫る声が聞こえる。何故かはわからない。しかし、体が海の方に引き寄せられるのが分かった。浮き輪が取れて、凄い水流に飲まれた。



気が付いたら私達は島にいた。

「ここどこー!」

「わーん! お母さん!」

小麦ちゃんが泣いている。私達は何処か分からないけど、島に流れ着いていた。プリンが食べれないかもしれない、いや、お母さんたちに会えないかもしれない、それどころか、家に帰れないかもしれない、嫌だ~。二人ですごく泣いていると、

「あ、いたいた。二人とも。もう波にさらわれた時は心配したんだよ」

「そうそう、たまちゃんも、小麦も大丈夫だった?」

その声につられて振り向く。するとそこには、いつの間にか後ろにいた、黄金お姉ちゃんと、白お姉ちゃんが、しゃがんで話しかけてきた。

「黄金お姉ちゃんに、白お姉ちゃん! わーん!」

二人して泣きつく。何故ここに? そう思うのは見ている私だけだったのだろう。

「さあ、帰るよ。珠樹は黄金に、小麦ちゃんは白ちゃんにつかまってね」

「うん」

「わかったよ」

掴まった。二人は泳ぎだし、今気が付いたが、ちょっと先に砂浜が見えていた。そこにはお母さんたちがいて、此方を見ている。すごい勢いでお母さんがいた、砂浜に近づいていく。しかし、

「ね、ねぇ。あれ」

尾ひれが見える。あれはきっと、

「さめだ~!」

「速く泳いで!」

と私達はお姉ちゃんを揺らす。すごく揺らす。

「ちょ! 揺らさないで!」

「これじゃあ、泳げない」

しかし私達は噛まれずに済んだ。と言うか、なぜか落ちた。かなり大きい音がして落ちた。

「っと、へ? 海が割れている」

「これは、たまちゃんじゃないね」

「ほえ?」

私呼ばれた? とでも言いたげな声が出た。

「すごいね! すごいね!」

海が割れていたそしてそれは道のようになり、一直線にお母さんたちのいる浜辺に向かって歩けるようになっていた。その道を通り、私達はお母さんたちの元に向かった。

浜辺に着くと、お母さんたちは言い争っていた。

「だからあなたの子が、あそこで駄々こねなければ!」

「そんな事言われましても。あんな事になるなんて、考えられませんよね!」

私達はが浜辺に戻ると、割れていた海は元に戻り、海は何もなかったように平穏を取り戻している。

「「ただいまー」」

「た、珠樹! 大丈夫だった? 怪我はない?」

「小麦ちゃん! 怪我無い? 怖かったわね!」

二人とも、親にギュッと抱きしめられて泣き出した。

しかし、親同士の諍いは収まらず、この場は喧嘩別れで終わった。


家にて


「珠樹、魔力孔が開いたんだな」

そんな会話が聞こえる。しかし、私は寝ている。けど寝ながら、聞こえている。

「まさか、魔具泥棒の家から魔術師が生まれるとは、トンビが鷹を生むとはこういう事か?」

「お兄ちゃんは魔術は使えないみたいだけど、お姉ちゃん達は使えるみたいだし」

「どれ、封印しておくか。今回みたいに海に居たいだけで、波に呑まれるなんてあってはならないからな」

 その声の後にドアが大きく開き、

「では、封印を開始するぞ、解除パスは、珠樹、16歳の誕生日、おめでとう! でいいかな?」

「ええ、いいわ」

ああ、こうやって私の力は、封印されたのか。

「あ、しまった。何故か分からんが、一部記憶も一緒に封印されてしまった。それにしても、とてもうまく封印出来たな」

いや、良くないよ! だから私はこの後小麦ちゃんに事を忘れて、喧嘩して、でも憎み切れず、疎遠になってしまうのか。そんな夢を見て私は目が覚めた。そっか、私はそうやって魔力孔を封印されていたんだ。そして封印が解けたからこの夢を見たんだ。そう私は結論付けた。

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