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魔法少女でイイノ?  作者: 月読雨月
九章 魔法少女でイイノ!!
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魔法少女でイイノ!! 12話 解放

解放


周りを見ると、皆も戦っている。皐文ちゃんは風の中で詩織ちゃんと対峙して、シン・ライルさんをサターンさんが、お姉ちゃん達を代美ちゃん、神奈ちゃんが止めている。けどこれでは手詰まりだと思ってしまう。そこで私は、互いの陣営で見えない人がいることに気づく。美智さんと長宗我部さんだ。

「どこをよそ見している」

お兄ちゃんは私をつかみ、上に投げる。あ、これ終わったかも……そう感じたのは私だけではなかったようで、

「珠樹! 今助ける!」

とサターンさんが土の巨大な手を伸ばす。しかし、それはお兄ちゃんの刀で斬られた瞬間、ただの土に戻った。

「成程、その刀、魔斬りか……。珠樹! すまないが自力で何とかしてくれ!」

「う、うん」

『珠樹ちゃん、その上から、魔力を感じるよ~。何とか防いで~!』

『分かったよ』

空中で刀を闇雲に振る。恐らく、この刀は魔術を固めてその属性のサモンエッグを作れるのだろう。また一回斬った属性の物はその属性の影響も受けないで、サモンエッグを生成できるはず。それを当てにして、振る、振る、振る! そして頂点に着いたようで、落下を開始した。しかし私は落下しないように浮遊する。そしてお兄ちゃんは追ってこない。やっぱり、

「手ごたえありだよ。何かのサモンエッグが5個生成されたよ。見えない糸が大量に張り巡らされているみたいだよ! みんな気を付けて!」

その言葉と共に、どこかで爆発音が聞こえ、皆が驚きそっちを見た。そこには、長宗我部さんと見たことのない女性、黒髪、ポニーテールの、黄色を基調とした和服を着た、15歳ぐらいの女性がいた。

「もう早く助けに来てよね! 魔力すわれ過ぎてフラフラよ。でも、助けてくれてありがとうね」

皆がそっちに注目している。最初に動いたのは、檻に囚われていた少女だった。鉄格子をつかみ、

「お姉ちゃん大丈夫だったんだ良かったー!」

「ええ、大丈夫! っと嘘が通じないんだっけ? ちょっと弱っているけど何とかなる程度よ」

その言葉に女の子はホッとしたようだった。

「で、なんで此処にこんな陣が……」

次に動いたのは助けられた人だった。いきなり何処からか刀を出して、一振りする。すると、お兄ちゃんが舌打ちをした。

「まったく、この状態で見えない攻撃とかしないでほしいわ。そこのお兄さん?」

「くっ」

どうやらお兄ちゃんが何かを放っていたらしい。そのまま二人は睨み合ったまま動かない。私が茫然としていると、

「あーそこの子、今の隙にあの子の檻を壊して助けてあげて」

「は、はい」

私は急ぎ檻の方に向かった。確かにあんな小さい子が閉じ込められているのが容認できなかった。たどり着くと金のサモンエッグをぶつけて、金羊を召喚。

「ありがとうお姉さん!」

と女の子は牢屋だった場所から逃げ出す。

「それにしても、どうして捕まってたの?」

「私は嘘が見破れるんだ。それで、嘘発見器扱いでここに居たの」

ひどい扱い、小さい子を道具扱いするなんて!

「あのお兄さん、さっきから嘘ばっかり! どういうつもりなんだろう?」

「へ?」

嘘ってことは私達を消そうとしてないって事? 少しうれしくなる。しかし、

「珠樹! 危ない!」

私が女の子を抱いて前に跳ぶと、皐文ちゃんが跳ばされてきた。しかし壁にぶつかることなく体を回転させ器用に防御の体制をとる。そして、こちらに向かって来ていた、詩織ちゃんの攻撃から女の子と私を守った。

「よけてくれてありがとう! で、詩織は何でこの子を狙ったんだい? まさかこんな力無い子を殺す気じゃないよね!」

「その口を封じるためには仕方ありません」

女の子は私の服をギュッと掴む。本当だと見抜いたのだろう。どうやら詩織ちゃんは本気のようだ。

「どうしたの詩織ちゃん! そんなことする人じゃなかったよね!」

「これが私です。正義の味方になれなかった私です。だから今は」

此方に槍を向け、宣言する。

「誰かの味方の私です」

戦いが激しくなっているのがわかる。けど私と皐文ちゃんは、詩織ちゃんから目が離せなかった。すると、

『……これ以上は危険だな。此方に勝ち目はないし。この建物がもろくなっている。誰か脱出のプランはないか?』

と神奈ちゃんが念話で語りかけてくる。そう言えばこの何かわからないサモンエッグは使ったことがないよね。そう思い少し考える。その間、皐文ちゃんと詩織ちゃんは戦闘を再開、こっそり何かのサモンエッグを取り出すと、何やら衝撃が走った後、皆が動かなくなった。

「これ、どうなってるの」

ずっと私の服を持っていた女の子は声を上げる。これって……サモンエッグは鞘になっていた。これは多分、時のサモンエッグだ。これを使えば恐らく、そこで全体は動き出した。10秒止められるというところかな?

「みんな間接的でいいから私に触れて!」

私はみんなに聞こえるように大声で言う。皐文ちゃんと女の子とどうやら近くまで来ていた長宗我部さんは私の服をつかむ。代美ちゃんは紐の付いている矢をこちらに飛ばす。神奈ちゃんは腕を飛ばして私はそれらに触れる。そして、時のサモンエッグを掲げる。そこに何処からか現れたサターンさんと、ヴィーナスさんと思われる人も私に触れた。そしてすべては凪になる。

「ど、どうゆうことかな? これ」

皐文ちゃんが驚いて声を上げる。

「とりあえず、逃げるよ!。十秒しか持たないから!」

と私は急ぎ脱出口を探すと一瞬で見つけた。そっちに向かって6人で走り出す。途中で代美ちゃんも追いついて、何とか脱出艇に乗り込んだが、神奈ちゃんが来ない。もう十秒という時間でやっと来た。

「……すまない遅れた」

何か考えているようだったが、かまわず出発した。そして私の手には鞘が握られていた。


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