この世界でイイノ19話 再起動
再起動
「再起動中……。再起動中……。再起動完了。……っと珠樹、代美、迷惑かけたな。君たちがボロボロなのと、機械帝が発動していたから、迷惑をかけたことは分かる。ところで皐文は何処だ?」
私は神奈ちゃんが助かったことで、張ってきた気が緩み、涙目になりながら、
「よかったー、神奈ちゃん。皐文ちゃんはロボのエネルギーを破壊して、多分今こっちに向かってるんじゃないかな」
そう言っていると、皐文ちゃんはこちらに歩いてきた。少し足を引きずっているが、此方が見ているのに気づくと、ニコリと笑顔を見せてくれた。
「……良かったありがとう」
そう言うと、神奈ちゃんは立ち上がり、そこで考え始めた。
「……ここから私達の町に戻るにはどうすればいいんだ? と言うか此処は?」
そこに、忠男さんが来て、
「それならば、ここの住民に聞けばいいだろう。松永が女性を連れてこちらに向かっている」
そう話す忠男さんを見て、神奈ちゃんは
「……誰だ? すまない、私はここ数時間の記憶がないんだ。珠樹と皐文が砲を破壊して、その後マーキュリーが私に対して何かをしたまでは……、という事はここはリアルワールドか? いわゆる異世界なのか?」
私が説明しようと、口を開いたが、その前に声を発した忠男さんが、
「自分は飯野忠男。旧日本海軍の人間で、珠樹に召喚された者だ。そしてその通りここは君たちの世界の外の世界リアルワールドだ」
「……成程、旧日本海軍という事は、もう千年以上前に亡くなった人という事か?」
それを聞いて、忠男さんはきょとんとした。その後に、いつもの顔に戻り、
「いや、違う。君たちの世界では今何年かは知らないが、この世界では120年前ぐらいのことだ。どうやら君たちの世界とこの世界は時間の流れが違うようだ」
そこに、黒田さんを連れた松永さんが戻ってきて、
「ああそうだ。時間はこちらの一日が、ムンドゥスインマキナでは一年だ。だから早く帰ったほうが良い。と言いたいが、神奈、一つ頼まれてくれ」
そう黒田さんが言うと、神奈ちゃんは私達を見て、
「……珠樹、代美、皐文この人たちは誰だ?」
「あのね~黒田さんと~、松永さんはね~、あたしたちが~、神奈ちゃんを助けるのを手伝ってくれた人たちだよ~」
「ちなみに松永さんがあっちの怖い顔の男の人で、黒田さんが、白衣の女の人だよ」
と代美ちゃんの説明に皐文ちゃんが補足を入れる。
「……成程。で何をすればいい?」
とストレートに聞く神奈ちゃん。その問いに黒田さんが、
「人間を機械市民と誤認させる技術が欲しい。それさえあれば、後は我々で何とかできるはずなんだ」
「……そうだな、私と同じスペックの機械があれば可能なんだが、どこか近くにないか?」
「それなら、こいつがあるぞ」
と松永さんがキューブを見せるそこには機械と書かれており、それをここで解凍を開始した。それからは神奈ちゃんそっくりの機械が現れた。
「あなたはオリジナルですね」
神奈ちゃんは少し驚いたが、すぐ冷静に戻って、
「……ああ、そうだ。今からお前を改造する。悪いが人類存続のためだ」
「解りました。私の存在意義は人類の存続です。どうぞお好きに」
「……ああ」




