この世界でイイノ17話 巨大ロボvs駆逐艦
巨大ロボvs駆逐艦
「ドローンは近づく前に機銃で落とせ! あの大量の機械が合体した奴は主砲で牽制しろ! 魚雷も撃ち込めるとと判った! 撃って撃って撃ちまくれ!」
「はっ!」
声は聞こえど、姿は無し、しかしその通りに船は動き出す。それでも、巨大ロボットは抑えることしかできず、少しずつ押されている。けど、
「私が動力を破壊するよ」
と即席の松葉杖を握りしめ、船から飛び降りる。そこからキャタピラに近づこうと、地上すれすれを飛んで、側面に向かい、接近するが、ドローンが飛んできて、此方に向かい、機銃を構える。
「イージスの盾!」
構えた瞬間、イージスの盾に付与されている、メデューサの力石化の眼差しで、ドローンはプロペラが止まり、落ちていく。うまく石になったようだ。
「よし、ってあそこに人影が……」
顔だけ出している年上の男の子が研究所のドアの所にいた。どうやら安全を確認しているようで、研究所の扉の裏から左右を確認している。
「此処にいたら危ないですよ! 早く遠くへ!」
その声は届いたようでその人はこちらを見たが、なぜか研究所の中に戻ってしまった。私はその人を追いかけて、ドアを破壊して、研究所の中に入る。
「待ってください。研究所の中も危険ですよ!」
そう言っても彼は止まらずに奥に逃げる。そこに、代美ちゃんが現れて、
「捕まえたよ~」
と捕まえてくれた。
「あ、代美ちゃん、その人が避難してくれなくて、助かったよ」
しかし、代美ちゃんは、
「この人はね~、あたしの矢筒を盗んだの~。後でお仕置きするから逮捕だよ~」
「ちょっちょっと待ってくれ。盗んだものは返すから、命だけは……」
しかし代美ちゃんはその人が持っている、圧縮バックを奪い取ると、手錠をかけ、圧縮をした。圧縮キューブには来須 一とその人の名前が出る。そして、盗まれていた物を見ると、いろんな機械部品、それも複雑そうなものが多かった。その中に、
「あ、矢筒あったよ~」
と矢筒を見つけていた。そして機械の中に救世Aバックアップと書かれた物があった。それを取りつつ私は
「これ……多分神奈ちゃんのバックアップだよね?」
「多分そうだよ~、火事場泥棒さんを追いかけて正解だったね~」
そう言いつつ私達は外に出ると、皐文ちゃんと、忠男さんは善戦していた。皐文ちゃんは巨大ロボにつながっている、コードを斬り、忠男さんは、動かないように砲や機銃、魚雷を無数にある腕、視覚部分などに撃ちまくっている。私の魔力で弾などを作ってるため、残量的にもまだ戦えると思う。
「あ、珠樹、代美も一緒かい? なら丁度いいや、僕と珠樹で中に入って神奈を救い出すよ」
と皐文ちゃんが動きを止めることなく、こちらに言う。
「いいけど、何処に入るの?」
「あの巨大ロボの中だよ、あの中に神奈がいる」
かなり厳しいことが分かっている。そしてあのロボットの中に神奈ちゃんがいるのも分かった。
「分かったよ。じゃあ、一旦船の上に戻って、武器の整理をしよう」
「うん~、そうだね~」
そして私達は船に戻り、
「珠樹ちゃん~、弓を変えたいんだ~、キム・クイか、ガーンデーヴァ、を出して~。後、チャンドラダヌスの矢筒も出して~」
「どんな奴?」
「ほら~、キム・クイは一矢で千人倒せる奴~。後、ガーンデーヴァは詩織ちゃんと戦った時に使った火の出るやつ~あれは100万分の1の威力にしてたけど~、チャンドラダヌスの矢筒は~、無限に矢が出てくるの~」
「ちょっと待って、ガーンデーヴァはこの都市が全部燃えちゃうよ。それに、どちらを出すにしても、私の魔力が尽きちゃうし、ごめんね、チャンドラダヌスの矢筒だけ出すよ。矢を出すときの魔力は自分で補ってね」
「うん~。分かったよ~」
「じゃあ、僕も我儘言えないね。と言っても僕はこの召喚してもらった、忍び刀だけでいいから、このままで大丈夫だよ」
と忍び刀こちらに見せる。確かに刃こぼれ一つ無い。ならこれで行けるかなと私は考える。
「忠男さんはどうですか?」
そう訊くと、
「贅沢言うなら長倉 義春でも呼んでもらいたいが、珠樹の魔力残量では無理だろう。ならば、このままやるしかなかろう」
その言葉に皆が頷く。私も気合を入れて、
「じゃあ、召喚するよ!」
と言って、チャンドラダヌスの矢筒と自分用に雷切を召喚する。そこで、私はある事に気が付いた。
「皐文ちゃん、神奈ちゃんはどこらへんに取り込まれてるんだろう?」
皐文ちゃんは少し悩んで、
「頭とか?」
とあいまいな答えを返す。そこに、松永さんが来て、
「おい、黒田と三好はどうした?」
「三好さんなら裏切ったよ。それで、黒田さんがこのキューブの中だと思うよ」
と皐文ちゃんがキューブを渡す。
「そうか。情報が漏れていたのは三好からか……っと、早く黒田を解凍してやるか。それから、動力やソリッドステートドライブ、CPU後は冷却機能は熱を持つ。ましてやアレは何処からかとってきたか、核融合炉と冷却ファンがあるみてぇだが、一番熱を持つのは核融合炉を除くと、お前さんらの友達が使われている、ソリッドステートドライブとCPU、だろうな。だから熱を見ればわかるんじゃないのか」
と助言を残して、船から降り、
「俺はここから離れる。お前らの持っている圧縮人間をよこせ。全部何とかしてやる」
と車のエンジンをかけながら言う。
「それなら~、この人を安全なところで~解放してあげて~ただの火事場泥棒だから~」
「あ、私のこの人は出しちゃだめだよ」
と代美ちゃんと私は圧縮キューブを投げて渡す。
「あいよ」
そうして松永さんは撤退していった。
「けど熱と言われても……あ」
と私は思い出した。という風に手をたたく。
「今私達って、機械の体なんだよね。多分サーモグラフィーぐらいついているんじゃないのかな?」
「あ、そう言えばそうだったね。じゃあ、やってみよう」
そう言うと頭の中で、サーモグラフィーの使い方を検索する。やはりサーモグラフィーはあり、そのマニュアル通り、目を上向けた後に下を見、白目になると、サーモグラフィーモードに切り替わった。
「ほら言った通り、頭だったよ」
確かに人で言う頭の部分に神奈ちゃん型の熱源がある。他の場所は胸に当たる部分には核融合炉が、背中には冷却ファンがあった。
「なら僕と、珠樹で首を……」
「ちょっと待って~」
と待ったをかける代美ちゃん、どうしたんだろう。
「できるだけ、首を落とすのと、核融合炉を一緒に外したほうが良いよ~。何が起こるか解らないからね~」
「よくわからないけど、分かったよ。じゃあ、僕は核融合炉を外すよ。だから珠樹は首を落としてきて」
そうなると私は皐文ちゃんにできるだけ、いい武器を渡したいそう思った。ならば、あの首を断つのに必要な魔力だけを残して、召喚した。
「はい、皐文ちゃん。イージスの盾持って行って」
「いいのかい? 珠樹、魔力がぎりぎりだってさっき言ってたばかりじゃないか」
「皐文ちゃんに持って行ってもらわないと何か後悔する気がして。だから持って行って?」
皐文ちゃんは一瞬ためらったが、
「わかった、珠樹も気を付けてね」
「うん!」




