この世界でイイノ4話 リアルワールド
リアルワールド
目を覚ますと、何やら白衣を着たお爺さんたちがのぞき込んでいた。
「おお、動いたぞ! 全員の起動確認終了だ。メモリーにムンドゥスインマキナのバックアップをした後、次は動作確認に入る」
そう彼らは言うと、まず私の左隣に集まった。こっそりそちらに顔を向けると、神奈ちゃんがいた。しかし神奈ちゃんしかいないというのもおかしいなと思い逆に向くと、皐文ちゃん、代美ちゃんが病院で着るような服を着ていて動こうとしているのが見えた。どうやら私も同じような服を着ているらしい。私もこっそりと右側に下りお爺さんたちが何をしているか見る。
「おお、左手はこうやって動かすのか!」
と多分神奈ちゃんのであろう左手が上がっているのを見て喜んでいる様を見ると、どうやら神奈ちゃんをあのお爺さんたちが動かしているように思えた。こっそりと隣に来た皐文ちゃん、代美ちゃんが、
「どうする~。あのお爺さんたち」
「話し合いで分かってくれるんじゃないかな?」
そう言って三人で立ち上がり声をかけようとすると、
「何をやってるんですか! 博士方! 松永のやつが近くまで来てます。早く逃げませんと!」
それを聞いて博士と呼ばれた人たちは、
「そ、そうか。では後の三人もこの機械で……っておらん! どうゆう事じゃ!」
思わず隠れてしまった。
「そんなこと言っている場合ではなかろう。はよう逃げんと!」
「そうじゃ、そうじゃ、一番重要なのはこの娘じゃ! これでこの世界は救われるのじゃからな」
「そうじゃの」
と言って皆逃げて行った。
「追わないと!」
そう言って、皐文ちゃんが追いかけた。私達も追いかけようと、物陰から飛び出すと、
「なんじゃい? この小娘らは。お主らもこの研究施設の者か?」
と後ろから威圧的な声色のお爺さんが現れた。
「違うよ~。私達~違う世界から来たの~」
「違う世界と言うとあの中か、ムンドゥスインマキナ、機械の中の世界か。くそ、あいつら儂の訴えを無視しおって! で、そ奴らはどこ行った!」
「あっちのドアから出て行きましたよ」
と私は少しビビりながら答える。
「……しゃあない、お前らも着いてこい!はぐれるんじゃねえぞ」
「うん~」
「は、はひ」
噛んだ、その後お爺さんについて行き、しかし、
「くそっ見失っちまったか……でどういう事か説明せい」
と何故か怒られ、そして皐文ちゃんは見失った。




