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魔法少女でイイノ?  作者: 月読雨月
八章 この世界でイイノ
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この世界でイイノ2話 沈んだ大陸の王の解放

沈んだ大陸の王の解放


「それにしても僕たちがデータなんて言われても、理解が追い付かないや」

「そうだね~、けど~セーブとかは基本出来なさそうだよ~」

「なんで?」

私が考えていたことを見透かされたような気がした。私はデータならゲームみたいな物で、セーブポイントを作っておけば戻れると考えたからだ。

「だって~、それができるなら~、ラ・ムーが絶対してるよ~?」

「それもそうだね。ってことは基本僕たちが死んだらどうしようもないってことは変わらないってことでいいんだよね?」

「そうだね~」

そんな会話をしているとサターンさんに呼ばれ、ついて行く。すると詩織ちゃんが魔法陣を書いていた。

「少し待ってください、もう少しで出来上がりますので……っと出来ました」

そう言いって詩織ちゃんは立ち上がり、こちらに向き直した。

「話は大体わかりました。ですが、なぜ私たちにその子の記憶がないのでしょうか」

「簡単だ、あの世界に送られる際にこの世界から生きた痕跡が消されるんだ。この世界の人たちに、疑問を持たせないためだそうだ。まあ色々不都合や辻褄が合わなかったりもするが、そんなもの、あの世界を救う事を思うと、大した問題ではないらしいがな」

とサターンさんが説明してくれた。でもなんで私と皐文ちゃんだけ記憶があるのかな……。そう悩んでいると、サターンさんも疑問だったそうで、

「そうか、皐文は魔法を吸収できる、しかしあれは魔法ではない。と思っていたが皐文の能力によって無効化されたから魔法なのか。と言うか魔法の定義ってなんだ? もしかするとシステムに介入して、書き換える事などの総称が魔法なのか?」

とサターンが悩んでいる。そこに小部屋ちゃんが、

「あれぇ、高虎ちゃんは知らなかったんだっけぇ? システムにアクセスして、火を出したり、風を操ったりするのが魔法だよぉ」

「サン様、拙者を高虎と呼ぶのはおやめください」

「ちょ、ちょっと待ってください。その言い方だとここがまるでコンピューターの中にあるかのようですが……」

「「……あっ」」

とエルピス二人が唖然としている。詩織ちゃんにその話をしてはいけない事をすっかり忘れていたようだ。そして魔法陣が繋がった様で、そこから沈んだ都の王が現れた。

「我を捕らえた者どもと、エルピスが何用だ?」

「手伝え、ラ・ムー。この子達を私達の元居た世界、リアルワールドに送りたい。ただし洗脳は無しでだ」

「どうしてそんな事をしたいんだ? 理由を話せ」

「ああ、簡単に話すと、マーキュリーの嫌がらせで、神奈がリアルワールドに連れていかれた。そんな器でもないのだがな」

「ならば、なぜ彼女は神奈とやらを送った?」

「あやつの守る世界の、こちらへの世界侵略を成就させるためだろう」

「まあその気持ちはわかるな。我もこの世界を守るために、世界の統一を目指したものだからな」

私達に沈黙が訪れる。そしてその沈黙を破ったのがサターンさんだった。

「と言う事は、ピコもそういう思想を持っていたのか?」

「その通りだ、だが今その話をしても詮無き事、我からは三つの要求する。一つ、残る娘らは我と共に異世界の軍からの侵攻を防ぐ事。一つリアルワールドに救援に行く者たちも成功し次第、異世界軍と戦闘に参加する事、最後に、我を自由にする事だ。この要求が呑めるなら我もお前らに手を貸そう」

私と皐文ちゃんは互いに頷いて、

「「それでいいよ」」

と言ったら、詩織ちゃんに脇を小突かれ、

「勝手に決めないでください。それ私達も条件に組み込まれてるではないですか。私が美智とライル姉妹、六角に是非を聞いてきます。ですから少し待っていてください」

そう言うと詩織ちゃんは三人の方に向かって歩いて行った。その間、私は最強の味方に付いて考えを巡らせていたが、思いつかず、

「最強の味方ってどんなイメージなんだろう?」

それを皐文ちゃんに投げかけると、笑いながら、

「僕に聞くのかい? まあいいけど……例えば、最強の武器を召喚したり、能力強化の魔法をかけたり、または最強の召喚獣を召喚するとか、僕や神奈、代美の最強の姿を想像しろってことじゃないかな?」

私はその意見を聞き、確かにそうだと思って、

「ありがとう分かったよ。私は補助に回ればいいんだね?」

そう言うと、代美ちゃんが首をかしげながら、

「う~ん、少し違うんじゃないかな~。召喚獣も出さなくちゃいけないし~、味方の強化もそうなんだけど~、珠樹ちゃんも戦っていいと思うよね~。多分補助しながらの戦闘を要求されるよ~」

と代美ちゃんが言う。それもそうかも……私は弱いけど、今なら普通の人には勝てる気がする。だから、

「うん、わかったよ。なら想像するのはみんなの最強だね!」

私がそう言うと、皐文ちゃんはにかっと笑い、

「その意気だよ!」

と言ってくれた。そこに、サターンさんが、

「おおっと、言い忘れるところだった。転送が行われる際に肉体強化を全開にしておくと、向こうでは肉体強化状態が持続する。それを使うといいだろう」

「ええっと~、つまり、最大限まで強化しとけってことでいいんだよね~」

「その通りだ」

「分かったよ~」

そうこうしているうちに詩織ちゃんが帰ってきた。

「許可を得ました。後あの方々があなた達に用があるとの事です」

と詩織ちゃんが指をさす方向を見ると、奈美ちゃんと、代美ちゃんのお父さん、そして多分この市の市長さんがいた。

「では、ラ・ムーの封印を解こう。エルピス権限を使えば何とかなるだろう」

そう言って、サターンさんと小部屋ちゃん、ラ・ムーは何かを開始した。私達は奈美ちゃん達の方に向かうと、市長さんはすごく気まずそうにしている。そんな事を気にせず奈美ちゃんは、

「お姉ちゃんお疲れさま。スゴイね! あんな大きな建物斬っちゃうなんて!」

と抱き着いてきた。

「ありがとう! でも、なんでここに?」

そう聞くと私が奈美ちゃんと話しているうちに代美ちゃんと話していた、代美ちゃんのお父さんが、

「お礼と謝罪に来たんだよ」

私は首をかしげる。お礼は分かるけど、謝罪は……あ、そうか、そこに思い立った時に市長さんが、

「本当に申し訳ない。私達は君たちに助けてもらったというのに、化け物と恐怖して、町から追い出す算段をしておった」

と深く頭を下げる。私が困惑していると、代美ちゃんのお父さんが、

「許してくれるのも、恨むのも君たちの自由だ。どちらでもいい。ただ、恨むよりも、許して皆で仲良くできたほうが気持ちがいいだろ?」

私達は少し考えた。話し合いもした。その結果、

「許すよ。だってそっちの方がかっこいいでよね!」

と皐文ちゃんは胸を張って言った。その言葉に私達は頷く。すると市長さんは少し泣きながら、

「ありがとう、ありがとう」

と喜んだ。そして、私と皐文ちゃん,代美ちゃんはエルピスさんたちに向き直し、

「「「送って下さい」」」

と言うと、

「解った」

とラ・ムー、小部屋ちゃん、サターンさんが短く頷いた。その瞬間私は眠気に襲われた。


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