侵略してイイノ?17話 不連携
不連携
「貴女たちは気づいてなさそうね」
と言うマーキュリー、何かは解らないけど、でも、神奈ちゃんが解っているならいいのだろう。そうあたしに言い聞かせつつ、
「なんで、侵攻してくるの~?」
「簡単な話よ。資源の問題。私たちの世界にはもう、物質的にも魔力的にも資源が乏しいの。だから機械文明がそれなりで魔術の発展がないこの世界なら、機械的資源は見つけやすいし、魔術的資源なら潤沢。それにそんな中途半端な世界なら攻めやすいってわけ、理解したかしら」
「理解したよ~。けど、それって私利私欲のためだよね~」
「それはそうよ。戦争なんてそんなもの。勝てば官軍負ければ賊軍なんだから、どちらが正義をかざそうとも負けたら意味がないのよ、だって勝った方が実権を握って、その後の世界を動かすもの。負けたほうが悪く言われるのは当然でしょう?」
あたしはその言葉を聞いて、嫌な気分になる。侵略を悪いと思っているものの、たとえ悪でも構わない。そんな感じがした。そして話し合いの余地がないことを知る。だから、
「六角ちゃ~ん、あいつやっちゃってい~い?」
「あれはわたくしがやりますわ。伊佐さんは他の敵を当たって下さいな」
六角ちゃんもあいつは倒したいらしい、けど、
「ゆずれないよ~」
と矢を放つ。敵はその矢を避けてそのまま神奈ちゃんの方へと向かう。
「させないよ~」
と敵の前の方を狙って矢を放つ。しかし敵を後ろから追っていた六角ちゃんが敵に追いついて鉤爪で斬る。しかしそれは氷の盾を防御されて矢が到達する前に矢の到達予測地点を超えてしまった。それどころかそれを追っていた六角ちゃんに命中しかけて、
「六角ちゃん! 止まって!」
と念話で声をかけて、ぎりぎり停止、回避してくれた。
「ごめんね~! 六角ちゃん」
と念話で言う。
『こちらこそ、飛ばし過ぎましたわ。ここはやはり一人で戦ったほうが良いのではありませんの?』
六角ちゃんの言い分も一理ある。そう思ったあたしは、少し息を整え、思考を平静に戻すと、
「わかったよ~。あたしは六角ちゃんの周りに来そうな敵をやっつけるから~六角ちゃんは突っ込んでいって~」
『解りましたわ、援護頼みましたわよ』
「いっくよ~」
あたしはまだ迫ってきている敵の波に向かって弓矢を大量に生成、すべてに火炎性能を付与、すべてに均等に力を加え、放つ。それらは敵達に当たり、そこらを火の海に変えた。




