侵略してイイノ?15話 封魔矢
封魔矢
「……さて、行け歯車。そして再編成だ。陸上部隊、海上部隊、そして航空部隊編成開始。また機械歩兵たちも頼んだぞ」
そう言うと、私のデータと繋がっている機械歩兵たちは、私の沈んだ心中を覗き見たようで、
「はい!」
と一斉に答え、駆け出した。戦車や、戦闘機、軍艦も動きを再開周りの敵の排除に向かい、私も化け物に吸収されかかっている珠樹を助ける為に動き出す。まずは、歯車が化け物の羽の周りに着いたことを確認すると、そこに転移魔術を作動。別の所に飛ばしておいた歯車を出口として設定、発動させる。化け物の動きはこれで封じれるはず……。しかし、化け物は腕とつながっている砂を操り、その先にある毒で歯車を突き刺す。その攻撃で歯車は熔けだした。しかし、
「反応遅いよ~」
と隣で代美が言うその言葉と共に放たれた矢は化け物の背中に当たった。私には少し不安があった。あの様子では破魔矢では効かないのではないか、そういう不安だ。
「グガァアアぁあ!」
やはり効き目がない。しかし、代美ちゃんが、
「もしかすると~、じゃあこっちだよ~!」
と違う矢を放つ。すると、
「グガ、ガアアアア」
とうなり声をあげた後、珠樹の姿になった。
「珠樹ちゃ~ん!」
と代美は喜びながら飛んでいく。すでに接近して、手がこちらに来ないようにと戦っていた六角もへたり込み少し泣いている。私も、思わず走り出していた。




