悪魔になってイイノ?13話 珠樹の利用
珠樹の利用
横腹が痛い。そう思いながら、私は目を開ける。視点が定まらない。けど何人かの人間が私をのぞき込んでいるようだ。
「よかった~珠樹ちゃん。あ、今からお祓いするからちょっと待っててね」
少しづつ視点が定まってきて、私を見ているのは皐文ちゃん、代美ちゃん、神奈ちゃんだった。
「いたっ、私、どうなったの? 横腹がとても痛いよ」
「……珠樹、君は上空から黒い太陽による狙撃のようなものを受けた。それをわき腹に受け、落ちたところを、すんでのところで皐文がキャッチ。その狙撃を回避しつつ逃げかえったわけだ。つまり君は悪魔化しかねない。すまない私の想定外だ……!。だから代美がお祓いをする。前にしていた人はもう終わっているようだ」
それなら、私はそう考えた。それならもう探索用の悪魔がいない。私の中にはミナゴロシニセヨと命令が響いている。つまり……。
「神奈ちゃん、研究の成果を私に使って」
「何言ってるの? 珠樹ちゃん~」
「……珠樹、何を言っているんだ!」
「そうだよ珠樹、それは確かにいい作戦かもしれないけど、でも!」
「いいから! 私の! 意識が! 保てる内に!」
少しの沈黙、その後に、
「わかったよ~。でも悪魔化遅延のためのお祓いをしながら行くよ~」
と代美ちゃんは答えた。声は震えており、泣きそうなのがすぐ分かった。
「代美! ……分かったよ、なら! 僕は周辺の索敵をするよ。神奈は、敵の親玉の場所を探って」
「……本当にいいのか? 珠樹……」
神奈ちゃんの言葉に頷く。すると、
「……分かった。サターン、焔、二人は今回は参加出来るか?」
「ああ問題ない」
「あれはぁ、私たちから見ても敵だからねぇ」
「では、作戦を立てます」
と詩織ちゃんの声が聞こえた。周りを見ようにも体を動かせない。
「と言っても、簡単な作戦ですが、サーチアンドデストロイです。探して斬りましょう、その為に、皐文は魔力吸収状態で、周りの地上に対し警戒、代美は珠樹を背負って低空飛行しながら、お祓いを頼みます。私は上空を警戒します。エスキは左、プリマは右を警戒、小部屋と美智は珠樹の様態が危なくなった時の為に代美と共に、サターンは彼女たちのいざという時のための護衛、後は土のゴーレムを出して前後の援護を頼みます。神奈は索敵に集中してください」
「わかった」
皆が口々に言う。そして私は代美ちゃんに背負われて、命令が来るほうに運ばれる事になった。その命令に紛れて聞こえてくる、あの子の助けての声に決心を固めて……。




