蜘蛛の糸
嘘で満ちたセカイ。
真実なんか限りなく無に近くて
みんなみんな自分のために嘘をつく。
自分のために人を傷付ける。
そんなセカイで舞い降りてきた蜘蛛の糸。
「救いなんかいらない、1人で生きる」
そう言ってたはずの私。
そんな言葉を嘘に塗り替える。
これで最後にしよう、
最後にこの糸を信じてみよう。
この糸を辿ったらどこへ行くのか、
そんな不安が無いわけじゃなかった。
でも信じてみたい、これなら信じられる。
最後にこの糸を信じよう。
恐る恐る金色の糸に手を伸ばす。
この糸を必要としている人は
どのくらいいるのだろう。
私だけが助かっていいのだろうか。
そんな綺麗事言ったって
手はきちんと糸を掴んでいた。
私も結局、自分のことを1番先に考えるのか。
これじゃあ、あいつらと同じじゃないか。
本当に私でいいのだろうか。
そんな迷いはきっとお芝居。
ほら、ひとかけらの迷いもなく
私の手は光り輝くその糸を
死にものぐるいで握ってる。