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第08話 「1万円」のために相手を観察する
それから、ケンタは両親の生活を別の目で見るようになった。
今までは、母は自分の生活態度を注意する存在であり、父は寡黙で夜中に帰ってきて休日はゴロゴロとしているだけの存在だった。
しかし「1万円」を稼ぐ相手として何に困っているのか具体的に見ていると、自分の生活とは随分と違うことに気が付いた。
母はよくサークルのママ友とよく電話している。
だが、いつも固定電話か昔のケータイを使っているのがケンタには不思議だった。
また、化粧品や服を買うにもセールの時期に買い込んで無駄にしている。
電話料金とは化粧品とか、けっこう行ってそうだよな。
なんで調べないんだろ?とケンタは不思議に思ったが、そこで重要な差異に気が付いた。
母はスマフォもネットも全く使わず、ググってもいないようなのだ。
ケンタは「これだ!」と直感が閃いたように思った。
錯覚かもしれないが。