第05話 「1万円」をくれそうな人は何をして稼いでいるのか
庶民ながら身近な「1万円」稼がせてくれそうなリストは完成した。
ケンタは考える。
さて、どうやって「1万円」稼いだらいいものか。
そもそも、自分のような庶民が、お金を稼ぐのはどうすればいいのか。
バイトなら、何を売っているのかは簡単だ。「時間」を売っているのだ。
しかし学校にバレるようなバイトはしないと決めたのだ。
「時間」以外の何かを売らなければいけない。
身近で金を稼いでいる人間をイメージしてみる。
学校の先生、予備校の先生、両親ぐらいか。
先生達の仕事はわかりやすい。知識を教えて、お金を稼いでいるのだ。
しかし高校生の自分にバイトではない形で教えることは難しいだろう。
教える以外の仕事をしている身近な対象は父だ。
父は会社員で・・・と、そこまで考えて
父はどうやって金を稼いでいるんだろう?と、ふと思う。
そうして、ケンタは、父の仕事内容に具体的な興味を持ったのが
初めてなことに気が付く。
お父さんの仕事、とやらを小学生の時に感想文で書かされたような気もするが
低学年の感想なんて記憶の彼方である。
そもそも10年も前の仕事と、今の仕事が同じであるとは限らない。
父も時給で働いているんだろうか。
月給を貰ってくるから似たようなものだろうか。
座って言われたことをしているから、お金を貰えるんだろうか。
庶民なケンタには、身近に仕事をイメージさせてくれる人がいないのだ。