第16話 「1万円」を稼ぐためのひとひねり
父の時間を節約する。
普段なら父の仕事内容をよく知らないケンタでも、今は何に時間を使っているのかわかった。
年賀状である。
家族の食事の席でも「そろそろ年賀状を出さないと」「今年は枚数が多いから」などと会話になっている。
ケンタ自身はラインかメールで一斉送信すればいいと思っているが、両親は何かと付き合いがあるようで年賀状を100枚単位で出しているようだ。
年賀状の時間をインターネットの情報を使って楽にする。
それが父の時間節約に対するケンタのアイディアだった。
アイディアを実行する前に事前調査が必要なことをケンタは学んでいたので
インターネットで年賀状に何ができるのか、軽く事前調査をした。
それによると年賀状は、郵便局が作ったアプリを使用すると図柄は簡単に作成できるらしい。
さらに、住所データを入力すれば印刷も可能なようだ。
へえ、意外と進んでいるな、というのがケンタの印象だった。
このまま情報を持って行っても、父との交渉には役立たないことを母との交渉で失敗したケンタは学んでいた。
おそらく「そうか、ありがと。」の一言で済まされてしまうだろう。
どうやったら自分に「1万円」の稼ぎがくるようになるか。
ケンタは、もう少し脳みそを使わないといけない。