第12話 観察から調査して「1万円」を稼ごう
ケンタは作戦を立て直すことにした。
ネットで調べた節約情報を提供する、という方針は正しい。
しかし具体的な手段が間違っていた。
自分なら、どんな形で提供された情報なら聞くだろうか。
これまでの少ない経験を思い出しながら考える。
進学校に通うケンタにとって真剣に検討したことのある情報は、成績向上に関する情報収集である。
どの参考書が使えるか、どこの予備校のどの講師が面白いか、など。
成績向上と家計への負担のコストパフォーマンスを考えると、いい加減な選択をすることはできなかった。
更に、どんな観点から情報の信頼性をチェックしていたのかな、と振り返ってみた。
まず、成績優秀者の情報は信頼度が高かった。
しかし、成績が優秀すぎる人間の情報はあまり当てにならなかったように思う。
地頭の出来が違い過ぎて理解できなかったからだ。
自分と同じぐらいの成績で、最近急に成績が上がった人間の言うことには真剣に耳を傾けた気がする。素養が同じなら、手段の選択に理由があると信じられたからだ。
つまり、自分にとって理由がわかる情報を、誰が提供するかによって信頼度が変わってくるということだ。
考えてみれば当たり前のことだ。
ケンタは、母にとって理解できる情報とは何だろう?信頼度が高い人は誰だろうか?と頭を悩ませることになった。