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第11話 失敗の理由を分析して「1万円」を稼ごう
ケンタの作戦は、何がまずかったのか。
まず、アドバイスという形式は良くなかった。
母からすると上から目線に感じたに違いない。
自分だって上から目線で言われたら、聞き入れない。
それに、アドバイスに具体性がなかった。
安くなるよ、と言われてもいくら安くなるのかが見えない。
それなら今のままでいいじゃない、と思うだろう。
リスクに対する反応についても甘く見ていた。
TVではネット通販で中国の詐欺グループが捕まったとか
スマフォで違法なアプリにウイルスが、とか
いろいろと危機感を煽る情報が流れている。
もっとも大事な、自分の取り分が幾らになるのかも伝えていなかった。
真剣味がないように感じられただろう。
つまり、ケンタのアドバイスは
上から目線で、抽象的で、危険性がある、たわごとだったわけだ。
そりゃあ、聞かないよなあ。
自分が他人だったら、激怒されるところだ。
ケンタは「1万円」を稼ぐ作戦の最初の相手が肉親であったことに感謝した。
逆に言えば、そのあたりをクリアすれば聞いてもらえる確率があがる。
ケンタの物欲にまみれた脳味噌は、再び回転を始めるのだった。