第01話 庶民だから「1万円」を稼ぎたい
ああ・・・それにつけても金が欲しい!
異世界の高校2年生、ケンタは、極めて庶民的な欲望に身を焦がしていた。
登下校で買い食いしたい、お茶したい、アプリガチャに課金したい・・・。
あと「1万円」ぐらいあったら、この冬休みも楽しく過ごせそうなのに。
どうして俺は金がないんだ・・・。
バイトはできない。ケンタは庶民的な外見に反して、そこそこ有名な進学校に通っている。
家に金はないから公立高校だが、県名のついた県内でも2、3本の指に入る高校で
全員が進学、東大も数十名、早慶以外だと肩身が狭いというレベルなのだ。
だからというわけではないが、予備校で冬期講習もあれば正月明けにはテストもある。
バイトは学校の許可をとれば可能だが、世帯収入に制限があるのでケンタの家庭にはあてはまらない。
どこかに、簡単で学校にバレなくて「1万円」ぐらい稼げる方法がないものか・・・。
さて、ここで非日常の物語ならば、怪しげな黒づくめオジサンの口車に乗って人生を台無しにしたり、
コンサルタントや投資をしている金持ちの親戚の叔父さんが極めて抽象的なアドバイスをしてくれて
いきなりビジネスや投資を立ち上げて成功したりしてしまうところだが、ケンタは庶民だった。
庶民のケンタには、特別なことは起こらなかった。
仕方ないので、そこそこ回転よく持久力のある脳味噌で「1万円」を稼ぐ方法を考えてみることにした。
この物語は異世界日本の高校生ケンタが、庶民なりに「1万円」を稼ぐ方法を考える物語である。
拙作をお読みくださりありがとうございます。
今作のコンセプトは、
「少しだけお金を自力で稼ぐ。ちょっとだけお金があれば、少しだけ気持ちに余裕ができる。」です。
高校生でも大学生でも、やり方によっては中学生でもできる、お小遣いの稼ぎ方。起業なんて大げさなものではありません。
その考え方を、主人公と一緒に七転八倒しながら体験して欲しいな、と思いながら書き始めました。
※ お話の中に様々な団体やサービス名がでてきますが、「異世界」なので
類似した名前は偶然の一致です。