ゲーム~ナイト・キャットの火遊び~
「猫って……こいつか?」
困惑した表情で、蛇妖怪が呟く。他の三人も集まっているが、は?とでも言いたげな顔をしている。
そりゃそうだ。だってその猫は、さっきまでクッションの上で丸まっていて、今は妖怪たちに甘えているのだから。それを見かねたのか輝夜が、
「ほら、今は仕事の時間だよ。仕事では、真面目に仕事をこなし、二つ名で呼ぶこと。そう決まっていたよね、ナイト・キャット?」
輝夜がミントではなく、ナイト・キャット、と呼ぶと、ミント……いや、ナイト・キャットは起き上がって、スタスタ歩いて狐妖怪の足元で、
「にゃん。」
と鳴いた。早くしよう、と言いたいかのようだ。
「君が相手?笑っちゃうね。このかっこよくて強い僕がこんな……「ボォーっ」」
何かが燃える音がした。
……狐妖怪の尻尾に、火がついていた。
「あっつ!この猫、どうなってるんだい!?」
その火をつけたのは、いままで見下していた猫だった。ナイト・キャットは見せつけるように、ふわりと後ろ足を高く、前足を低く、浮かせた。ナイト・キャットのまわりには、2つから4つほどの狐火が浮かび、(猫だから猫火かもしれないが)ゆらりと振った尻尾は根元から三センチほどのところで二つにわかれていた。そう、ナイト・キャットは猫又だ。
「ナイト・キャットは猫又なんだよ。しかもかなり上級なんでね。そこの狐とやらせようとしたのは、どちらも火を操るからだよ。じゃあ、殺されないように頑張ってくれ。」
輝夜の言葉を合図に、ナイト・キャットと狐妖怪の戦いが始まった……といってもまあナイト・キャットの一方的攻撃により、ほぼふるぼっこゲームである。あ~あ、と輝夜は笑って、放送されないようにスイッチを切ってから、
「どう思う?」
と後ろにいたスナイパーに聞いた。彼はまだこの部屋にいたのである。スナイパーは肩をすくめて、ダメだろう、という仕草をした。
「で、ちょっとお茶を飲みにいって戻ってきたら、その丸焦げねぇ。アッハハハハ………」
輝夜の言う通り、少し席を離れて戻ってきたらすでにこの有り様である。結局クッションで寝始めたミント。(仕事が終わったので元の呼び名)その横でプスプス煙をあげながら丸焦げにされた狐妖怪。先程から輝夜も笑いっぱなしである。
「その有り様じゃミントを満足させることさえできなかったんじゃないかい?クククク……てか君ホントに無様だねアハハハハ!」
「……紅き薔薇が笑いすぎで壊れたため直るまで私が放送しよう。」
「お前誰だよ……」
「お前たちの次の標的だ。少し戻ってきてみたんだが……というかどうやったらこの短時間でそんなに丸焦げになれるのか逆にわからないな。」
適当に話をあわせて進めるスナイパー。さすが頭はいい。
「んじゃ、お前と戦えばあいつに会えんだな?」
あいつが輝夜を示すことは簡単に想像がつく。
「そうだ。ただし、今回のミントの件があったからな。見つけた方から、攻撃を仕掛けてこい。まあ全員揃った時点で、だがな。」
「僕を心配する余裕は君らにないのかい?」
「わかったらさっさとこい。じゃあな。」
完全に無視された狐妖怪は他の三人にも置いていかれることとなり、それを見た輝夜はまた笑い転げることになった。




