殺し屋たちの日常
また妖怪の話になりました。妖怪好きなんです♪
今夜もどこかで紅き薔薇は咲き誇る。ライトを浴びて、優雅に咲き乱れる。
「こらー!待て~!」
「そう言われて待つくらいなら指名手配なんてなってないね!」
サーチライトをかわしながら軽やかに笑う彼女は、月寄輝夜。二つ名は紅き薔薇で、ナイフ使いの殺し屋だ。警察たちは当然輝夜の本名を知らない。
今夜も輝夜を逃がした警察たちは、悔しそうな顔をする。輝夜はすぐそばで声を押し殺して笑っていた。
「輝夜さん!また新聞に載ってますよ!」
殺し屋仲間が新聞片手に走ってくる。彼は輝夜よりも年上だが、彼女の弟子なのだ。本名をここで出しているのは輝夜だけのため、二つ名しか知らない。
彼の二つ名は、短い。「忍び影」 それが彼の名だ。忍び影は暗殺専門で、拳銃を使う。ちなみに輝夜は昨日高校を卒業した。このギルドのような集まりには、輝夜を含めて四人しかいない。受け取った新聞を開くと、こうかかれていた。
『紅き薔薇の出現!
昨夜、大富豪の○○氏が(名だしNG)ナイフで急所ばかりを刺されて亡くなった。警察たちを嘲笑ったあと、紅き薔薇は消えてしまった。殺人現場には資料が残されており、開いたところ○○氏の罪が並べられており、全てが本当のことだった。これは紅き薔薇が残したものだと考えてよさそうだが何がしたかったのだろうか。もうひとつある。本当に消えたように見えたので、魔法使いかと考えるものも多いとか。』
「こいつら本当にバカだなぁ。簡単なトリックだろう。スナイパーならもうわかっただろ?」
「黒いマントを着て闇に紛れる。それだけだな?」
このスナイパーと呼ばれた男は、「神速のスナイパー」。頭の切れのよさと、ライフル銃の使い手だ。
「そういえばあいつはどうした?」
あいつとはもう一人のメンバーのことを言っているのだろう。
「さぁ……あいつは気まぐれだからねぇ。なんせ……」
「ミャー!」
そのあいつによって見事に遮られた。この猫は輝夜の飼い猫のミント。実はこの猫もギルドのメンバーだ。殺しに必要な資料や部屋の間取りなど、簡単に言えば情報屋だ。二つ名は、「ナイト・キャット」。闇に紛れるのが得意なことからつけられた。
「んで、何かあったのかい?」
忍び影がミントに聞くとミントは、窓のところでミャーミャーとなき続けた。窓に近寄った輝夜は、
「うん、いつも通り警察に囲まれているが、どうかしたのかい?」
いつも通り、とあっけらかんとした態度をとっている。いつもは黙っていて警察を退散させるのだが、今回はミントがずっと鳴いている。
下で、ドンドン音がした。その瞬間、輝夜の顔が強ばる。いつもなら、警察がドアを叩くなんてことはない。ついでにここは二階だ。つまり……
「まさか、あのバカが来ていると……?」
輝夜がミントに尋ねる。ミントは、にゃーんと、まるくなった。スナイパーが呟く。
「つまり、警察は妖怪どもを味方につけた……と。」
「これってかなりヤバイですよね……?」
全員が考え込み始める。そこで輝夜が、
「いいこと思いつーいた。」
いたずらっ子のようににやりと笑うのだった。