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冒険者ギルド 「ギルドの仕組み」

 商人ギルド、職人ギルドのように、とりあえずよくある冒険者ギルドの仕組みを見てみましょう。


「冒険者ギルドのなろう的なシステム」


 ・冒険者はギルドの施設で好きな依頼を選んでいく。


 ・冒険者が無茶な依頼に挑むのを防ぐため、実力に見合わない依頼は受けることが出来ない。


 ・冒険者をE~Aとランク付けされている。S、SS、SSSとかのランクが出る場合もある。そのランクで受けられる依頼が決まる。


 ・多くのクエストを達成してギルドから信頼されるようになったら、昇格試験を受けられる。合格すれば見事ランクアップ。主人公はとんでもないモンスターを倒して飛び級することもある。


 ・依頼にないモンスターを倒しても、倒した証拠となるものを持ってこれば、特別報酬がもらえる。


 ・手に入れた素材は買い取ってくれる。商人・職人ギルドとパイプでつながっているので、安く買いたたかれることはない。適正な値段で売れる。


 ・商人・職人ギルドが冒険者ギルドの近くに店を出している。やはりパイプがあるので適正価格で買える。


 ・冒険者見習いは、引退した元ベテラン冒険者がレクチャーしてくれるサービスあり。


 ・同じ国の中なら、ほぼ全ての都市とつながっており、ランクも変わらない。支部とか本部などがある。


 ・ギルドが発行する冒険者ギルドの証明書はそのまま身分証明書となる。ランクが上がると証明書がだんだんゴージャスになっていく。


 ・ヤバイモンスターが出現した場合、全員強制参加の緊急クエストが出されて、問題解決に向かう。


 ・宿泊、食事の施設完備!(もちろん有料)


 ・しくじって死ぬのは日常茶飯事。特に騒ぎになることはない。


 ・冒険者同士でパーティを作って依頼を受けられる。人数制限があることもあり、ないこともあり。


 ・モンスターについての情報を収集しており、資料室に納められている。ランクに応じて、資料を閲覧できる。


 ・モンスターについての研究を専門とする組織がギルド内にあり、依頼が少なくて生活に困る冒険者が出てきたら、調査依頼を出す。


 


 まあ、だいたいこんなものでしょう。これについては、今まで通り現実の仕組みと比較できないので、違和感の感じるところを突っ込んで考えてみましょう。


 今回考えるのはズバリ、「依頼のシステム」です。冒険者ギルドの一番の仕事だから、考えやすそうです。上記のところからピックアップすると、「ランク分け・依頼、報酬」などのシステムがあります。まずはそこから考えてみましょう。



「依頼について」


 E、D、C、B、A、S、SS、SSS


 冒険者は、その実力に応じてランク分けされます。無謀な依頼を受けたりして無駄死にされるのを防ぐシステムとしては、筋が通っていると言えます。


 Eがド素人。SSSが国内有数の超有名冒険者と見ると、ランクが八つしかないというのは物凄く少ない気がしますが、小説やゲームなどではこのくらいの数がちょうどいいでしょう。Z~Aまでランクがあったら扱いづらいです。よってこれは別に文句をつけるような物ではありません。


 強いて言うなら、あまりにもゲームチックすぎるアルファベットの分け方ではなく、他の分け方をする方法があります。


 スライム級、ゾンビ級、ウルフ級、デビル級、ドラゴン級、ゴッド級


 こんな感じでモンスターの強さで分けてみたりとか、アイデア次第です。


 ランクシステムはいいとして、依頼の仕組みについて考えてみましょう。

 一般人が不便に感じたことがある場合、とりあえずギルドに相談します。


「森にモンスターがいるから駆除してほしい」

「キャラバンを護衛してほしい」

「強力なモンスターの素材が欲しい」


 集められた相談はギルド内で集計され、その中から依頼として冒険者に提示します。クエストを出すのは実質的にギルドのわけです。


 しかし、なるべく早く解決してほしい依頼もあるわけです。そんなときには、ゼニの力を借りましょう。お願いをするときにお金をそえればいいのです。


「これでなるべく早くお願いしますよ……」

「仕方ありませんねえ……」


 こんな感じです。相談すればいつか依頼が出されるはずですが、みんなお金を出していたら後回しにされてしまいます。だから結局お金は必須の存在になってしまうわけです。いちいち依頼するのだからなるべく早く解決したい問題に決まっていますから。


 もしお金を払わない相談だけでも、依頼として出される可能性はあります。一つは、受けられる依頼がかなり少なくなってしまった時。もう一つは、それが深刻な問題に発展した時です。両者とも報酬を払ってくれる人が存在しないので、冒険者にとってはタダバタラキです。ギルドだって慈善事業はしたくないので、報酬を払ってくれる人を探さなければいけません。


 そんな人はいるのか……。おや、いるではないですか。王です。王に頼めばいいのです。


 前者の依頼が少なくなった時は、モンスターを狩って素材を売ったりすれば生活は出来るでしょう。ですが、緊急の依頼の場合はそうはいきません。必ずやらなければいけないのですから。もともと緊急事態に動くのは軍隊でした。しかし、死んでも不思議ではないし軍事に支障をきたすことはない冒険者は国にとっても使い勝手がいいはずです。だから緊急時は王が依頼を出してくれるはずです。よかった、よかった。


 

「やりたい依頼、やりたくない依頼」


 商人ギルドのときみたいに、頭の中で茶番劇を考えていたら大変なことに気がついてしまいました。例を出すと。


 ①楽だけど報酬が少ない依頼

 ②大変で報酬が多い依頼

 ③大変で報酬が少ない依頼

 ④楽で報酬が多い依頼


 この四つの依頼があったとします。どれをやりたいですか……。


 ④ですよね。転生主人公でも一般人でもこれを選ぶはずです。③を選ぶのは、よほどの馬鹿か、故郷を滅ぼしたモンスターを俺の手で倒したい。みたいな理由を持っていないと絶対選びません。そうすると、依頼はなるべく楽であり、なるべく報酬が高い依頼を選ぼうとするはずです。


 そうすると、誰もやりたがらない依頼が残ってしまうと言う最悪の事態が起こります。これを回避するには依頼を管理するギルドの職員が調整しなければいけません。


 通常の相場よりはるか報酬の大きい依頼をもらったとき。そのまま冒険者に提示すれば、その依頼をめぐって壮絶な争いが繰り広げられてしまうのはあきらかです。なので、オーバーしたぶんの報酬額を削って、通常よりちょっと高いぐらいの値段で提示します。これなら騒ぎが大きくなることはないでしょう。


 しかし、そのやり方だと依頼者が想像するより解決が遅れるかもしません。少しでも早く解決してほしいという意味で破格の報酬をかけたのですから、そんなことになったらクレームがとんできます。

 

 それに、この方法のままだと人気のない依頼はいつまでも受けてもらえないことに……。



 よし。ここは強制的に依頼を受けさせる方向で行きましょう。自由に好きな依頼を受けられるようなシステムにするからこんなことになるのです。それならいっそのこと、ギルドに加入している冒険者には自動的に依頼が割り当てられるような仕様にすればいいのです。


 冒険者の実力などを考慮して、「一週間以内にこの依頼をこなしてね」とこちらから押しつけます。その依頼を完了したら、残った依頼から好きな依頼を受けていい。しかも、その依頼を確実にこなしていけばギルドからの信頼も得られる。素晴らしいシステムです。


 ①ギルドが依頼を集計する。

 ②冒険者の力量、「この金で一番強い冒険者に依頼をさせてくださいね……」みたいなワイロから優先順位を考えて冒険者に与える。

 ③優先順位が低くて人気のない依頼を残しておき、希望した者にやらせる。それでもあまった依頼は、いただいたワイロを使って報酬を適正価格にしたものを冒険者に与える。



 冒険者ギルドは冒険者が作るもの。仲間の冒険者が苦しい目にあうようなことはしません。みんなで仲良くゴールインの感覚ですから。

 


 次回は、冒険者ギルドは軍事的に利用されないのか。そもそもこんな超化け物集団を国が容認するかについて考えてみます。



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