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冒険者ギルド 「冒険者の定義」

 いよいよ冒険者ギルドのことを考えていくのですが、いかんせんアバウトな言葉なので考えようがありません。ギルドは同業組合のことなので、冒険者が作る組織です。なので、冒険者という職業のことから考えなければなりません。


 冒険者のイメージでは、やはりモンスターと戦ったりしながら冒険する人のことをさすでしょう。なので、モンスターのことも考えなければいけません。

 モンスターについては、普通の動物が突然変異して生まれたとか、魔力で出来た生命体とか、宇宙から侵略してきたとか、はたまた普通の動物の強さが異常なだけだったりとかいろいろありますので、そのあたりはおいておきましょう。重要なのは今回はモンスターが人間の生活にどのような影響を与えたかです。


 今回は冒険者のタイプをおおまかに分けてみようと思います。


 ①定住型冒険者


 まだ人間がサルで身分の差がないときには、男が総動員して狩りをしていたのでしょう。狩りやすく、なるべく肉が多い動物を狙っていきたいところですが、当然それ以外のモンスターとも戦うことになるはずです。怪物だらけの世界ですから人間も化け物のような強さを持っていたのでしょう。


 平等な世界が終わり、人間同士争って国を作るようになると人口も増えます。支配する人々は、支配される人々を兵隊として駒に使います。実際の歴史では、国が保有する軍事力として戦争に駆り出されるのでしょうが、強大な力を持つモンスターに対しての力としても行使されたはずです。


 都市の近くに強力なモンスターが出現したら討伐に向かい、主な街道などもモンスターが近寄らないよう定期的に狩りも行うでしょう。大きな都市では、軍が冒険者の役割を担っていたはずです。


 これは小さな都市でも同じで、小規模ながら徴兵を行って治安維持に使われたはず。一般人にモンスターと戦う機会などほとんどないでしょう。これでは冒険者が存在しなくなってしまう。それでは駄目なので、少し強引ですが妄想を膨らませていきましょう。


 

 

 先ほどの小さい街や村でも軍事力を持っているという話ですが、よく考えたらそれだけで全てのモンスターを管理することは出来ないでしょう。大都市から離れた末端的な位置にある場所ならなおさら。人間が住むところの近くまでモンスターが入ってくることも多いでしょう。化け物ばかりの世界なので、普通の人でも下級のモンスター程度なら始末できるほどの戦闘力を持っているはずです。


 そうなると、狩猟を農業などの副業に行う人もいるはずです。日本の昔話でも、銃や弓で動物を狩ろうとするシーンはよく見かけるでしょう。冬に農業が出来ない地域では副業に工芸品を作ったりすることも昔ありましたが、そのなかに狩りも含まれるでしょう。モンスターは自分から積極的に襲いかかるので狩りもはかどるはずです。


 また、狩りをする人の中には、かなり強いモンスターを仕留めるような猛者も出てくるかもしれません。すると狩りを専門に行う人も出てくるのではないでしょうか。それなりに大きい街では、「近くの森に肉食モンスターが出てきて危ないから討伐してよー」などという依頼が届いてもすぐに解決されることはありません。軍を管理するところが数多く届く依頼の中からどれを先にするか会議し、予算や武器や食料などを用意し、軍を動かすことを誰か偉い人に申請してやっと出動できるわけです。実際に、「歩道橋がなくて不便だから作ってよー」なんてお願いがあっても実際に作られるまではかなりの時間がかかるのです。


 それに対して、一人で行う狩りはスムーズ。軍に頼むほど強いモンスターではないが、簡単に倒せるわけではないというモンスターが出現した場合、農村総出で狩りに出たり、農村の中で一番強い人に討伐をお願いすることもあるでしょう。村での生活においてモンスターとの戦いは尽きない。そのかわりに豊かな資源をもたらしてくれる存在でもある。農村のモブも結構やるものです。



 そんな生活を続けていったら、戦いの才能を持つ人が生まれてもおかしくありません。それは技術だったり力だったり魔法だったり、たくさんのモンスターとの戦いを積むことで得た戦闘経験かもしれません。


 モンスターは倒すと光の粒子になって飛び散るとかアイテムに変わるとかいろいろありますが、多くの作品では「普通は手に入らないものを落とす」という設定が多いです。そうなると、ある程度強いモンスターを討伐することが出来たら、かなり凄い物が手に入ると言うことを指します。


 毎日田畑を耕し、やっと収穫したものも税としてとられていく。人生が自転車操業で、特に変わり映えしない普通の日々を過ごすよりも、うまくいけば一攫千金で毎日がスリルに満ちているほうがいいと考える人が出てくる可能性があります。


 そう決意した人はクワを置き、剣を手に取り、決心する。



 「冒険者」になると。



 大きな都市の住民は、兵隊でない限り戦うことはないでしょう。中世ヨーロッパの大都市は全て大きな壁で覆われているからです。これは防衛のためで、戦争のとき役立つものでしょうが、モンスターを近寄らせないという目的も同時に達成できます。


 そのため、モンスターとの戦闘が日常となっている壁さえ作れない小さな都市・村で冒険者は生まれるはずです。はじめはてごろなモンスターを倒して素材を手に入れるだけでしたが、村人に頼まれて強力なモンスターと対峙することもあったはずです。村の中でモンスター討伐を請け負う職業。それが冒険者です。

 

 これらは定住型の冒険者。自分が定めた村を拠点として、様々なところに足を運びます。その村専属の冒険者ということです。続いて次のタイプ。


 ②放浪型冒険者


 世界には、何らかの目的で旅をする人が多くいます。自分が住みたい街に移動したり、観光したりです。転生主人公の中でも、王道である魔王討伐のため様々なところを渡り歩くのはよくあることです。しかし、この時代の旅には金がかかります。


 例えば宿代。野宿すればいいという方は、一度夜に山奥に行ってみましょう。電灯も何もない暗闇で夜を過ごすなんて出来ようがないです。モンスターのせいでなおさら。


 食料代。野生動物を捕まえればいいじゃないかという方は、実際に捕まえて食べてみてください。捕まえるのも一日仕事ですし、解体も重労働ですし、何より殺したてホヤホヤの肉なんて食えたものではありません。死後硬直でかたいです。おまけに寄生虫がいる可能性もあります。


 長い旅ではこの二つだけでもかなりの金がとんでいきます、ですが最後にひとつあれがあります。



 「税」です。


 世界中の歴史で共通ですが、旅には税がかかりまくります。まず街道には関所が設けられており、そこを抜けるには厳しいボデェチェックを受けて税を払わなければいけません。もともとは忍者みたいな人が入ってこないか確かめるものですが、次第に税目的に変わっていきます。日本でも奈良から美濃まで行くのに29の関所があったとか。おそろしい。


 税はそんな簡単なものだけではすみません。貴族などの領主が持つ土地を通れば通行税。歩いて通っても馬車で通ってもそれ用の税が加算され、川の橋を渡りたければ橋税を払い、浅瀬を通ろうとすれば浅瀬税がかかります。


 挙句の果てには商人が持っている商品にも税がどんどん加算されてくる。他にもトイレに税がかかるとか、わけのわからない税金を大量に納めなければなりません。この税が領地の運営に直接かかわるのでごまかしは絶対に効きません。払うしかありません。


 当然、こんな旅を続けていたら金はいくらあっても足りないので、商売をしながら旅をすることになります。


 ・自分の土地の特産品を持って行って高く売る(商品に税がかかってしまいますが)

 ・荷物を輸送する仕事をする(やっぱり税がかかりますが)


 そのなかにもう一つ選択肢が出来たわけです。


 ・冒険者をする(多分武器に税がかけられたりとか、討伐したモンスターの数に税がかけられたりとか、そもそもモンスターがたくさんいる地域に入るのに税がかけられたりとかしたのでしょうが)


 旅の中で滞在している都市の近くのモンスターを狩ってその素材を売る仕事です。元気で強い体と武器さえあればだれでも出来るので、人間も化け物であるファンタジー世界ではよく行われた手段であると考えます。


 実際には上記のとおり、狩猟にも税がかけられると思うので思ったほどの利益は出ないでしょう。モンスターから都市を守ると言う大事な仕事であるのにです。

 思い出してみましょう。自分たちが利益を手に入れるため、商人や職人は一体どんな手を使ったでしょうか。



 そうです。ギルドです。


 定住型冒険者も、放浪型冒険者も、まともに農業やっている仕事より儲かってしまうので、徹底的に税がかけられたと思います。定住型からすれば、今まではよく儲けられた仕事が税にぶち壊されるので怒ります。しかし一人の力で出来ることには限界があります。そこで冒険者は結束するわけです。


 冒険者が協力して領主に抗議。冒険者のおかげである意味、産業が支えられているわけですから影響力は強いです。ギルドが出来て冒険者が商売できる環境が整っていたら、当然放浪型冒険者もなるべくその都市を経由して旅をするようになる。こうして冒険者ギルドの礎が出来るのです。


 次回は、冒険者ギルドの仕組みについて掘り下げてみようと思います。

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