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もふもふ帝国犬国紀  作者: 鵜 一文字
三章 逆襲の章
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第三十話 戦いの帰結 裏切り者達




 風が止んだ。

 つい先刻まで行われていた死闘など、まるで知らぬかのように森は穏やかな暖かさに包まれており、有り得ぬ凶行が行われてもその姿を変えることはなかった。



「な……?」



 ドサリ……と一匹の魔物が倒れる音がその場にいる全ての者の耳に入る。

 最も近くでそれを見たタマはピクリとも動けず、呻き声を上げるだけだった。



 ガラン……。



 コンラートは剣を落とし、血溜まりの中で身体を朱で染め、不思議そうに両手を見つめている。己の行動に戸惑っているかのように。



「魔王の座は魔王を殺した者に継承される。ならば不思議ではないか」



 ぽつりと呟く。納得がいったというように。

 そして、試すように足元に転がる巨木を無造作に持ち上げ、軽々と捨てる。


 彼の顔には何の後悔も浮かんでいなかった。

 怯えも迷いも嬉しさも、感情らしきものは何もない。


 ただ、当たり前の事実を確認するために、軽く身体を動かしている。



「コンラート……てめえ……何を考えていやがる」



 やっとのことで現実を受け入れたタマは、想像を超えた圧倒的な膂力を前に、胃を直接掴まれるかのような緊張を感じながら口を開いた。

 逃げるべきだとはわかっている。しかし、どうしても問わずにはいられなかったのである。


 タマの知っているコンラートは優秀ではあったが単純明快で卑怯を嫌う、典型的なオーク族だった。目の前の行為はそんなコンラート自身が最も忌み嫌う卑劣なやり口であるはずである。



「見ればわかるだろう。魔王候補の座からこいつを蹴落としたのだ」



 しかし、不快さを隠さないタマに対し、コンラートは冷静そのものだった。

 元々凶暴なほどに強い感情の主でもあるはずだが、それも凪いだ湖面のように表に出ていない。


 彼の足元にはオーク族の魔王候補、フォルクマールが横たわっている。

 その傷から即死であることは明らかだった。


 殺したのはタマではない。


 コンラートが声を掛けたとき、フォルクマールがコンラートに気を許していることにタマは気付いていた。どのような事情かはわからないが、他者を寄せ付けないフォルクマールが信頼できる何かがあったのだろうと彼は思う。


 目の前に立つ男はそれを平然と裏切ったのである。



「てめぇぇぇっ! それが戦士のやることかぁぁぁぁ!」

「隙を見せた者が愚かなのだ」



 だからこそ、タマは目の前の男のやり方に激怒していた。

 しかし、コンラートは冷ややかにそう言い切る。


 コンラートはタマと対峙し、フォルクマールが背を向けたその時。

 自らの剣でフォルクマールを背後から両断したのである。


 神速の攻撃でゴブリン族を降伏に追い込み、一度は死の森のほぼ全域を支配し、力を増したコボルト族の首筋に再び剣を突きつける寸前まで追い込んだフォルクマール。


 孤独と無理解と戦い、それでもなお勝利をもぎ取ってきた魔王候補は、裏切りによって、自らの死を知覚することすら出来ずにその生を終えた。


 己を慕う者の存在には最期まで気付かぬまま。



 コンラートはフォルクマールを特別嫌ってはいなかった。

 彼には東部失陥を不問にしてくれた恩義もある。


 その優秀さを知ってからは敬意すら持っていたと言っても良い。


 そして、同時に生まれて初めての劣等感も感じていた。

 だが、それも昏いものではなく、学ぶべき存在、超えるべき存在として、この瞬間までは好ましいものとして捉えていたはずだった。


 クレリアがフォルクマールに敗北するまでは。


 オーク族としては、歓迎すべきである。

 放っておけば僅か数分もあれば、戦争の帰趨は確定していただろう。


 彼女はコボルト族にとってそれだけ重要な女であり、替えの効かない存在であったのだから。



「愚かだな」



 小さな声で呟く。

 彼を裏切ったことに対する自分自身への言葉だった。


 フォルクマールには元来何の咎もない。

 むしろこの戦争における最大の咎は怠慢によってモフモフ帝国の国力を増強させたコンラートにこそある。


 それでも彼には当然のことをしたという思いが強い。


 優秀な敵手が存在してこそ、勝利に価値がある。苦戦せぬ戦いを続けたフォルクマールはだからこそ滅びる結果を招くことになった。そう信じている。


 救いようがない考えだとも思ったが、深くは考えなかった。



(何を失っても、俺は俺の目的を果たすまでだ)



 そのための力は得た。後は多少の小細工を用いれば良い。

 魔王候補の力を引き継いだコンラートの命令に逆らえる者はオーク族にはいない。



「自由とはこういうものか」



 喉を鳴らしてコンラートは笑う。ついに彼は望んでいたものを得たのだと思った。

 一から戦争を組み立て、戦争を行う事が出来る。


 戦争の全てが彼にとっての最大の愉悦であった。

 そして、その悦びは強大な敵と対することで更に得られることを知っている。


 だから、コンラートは言った。それが自らの滅びを招くかもしれないと知りながら。



「タマ。お前はここで死ぬか、それともその女を連れて逃げるかを選べ」



 理解出来ないといったように顔をしかめて見てくるタマにコンラートは何の説明もせずに背中を向け、立ち尽くしているバセットの方へと歩いていく。


 その間にタマ達はクレリアを担いで走り去っていったが、それを見てもバセットは何も言わない。しかし、彼女はコンラートの凶行に怯えているわけではない。


 彼女は同胞のハイコボルト達を罠に嵌めた時から既に己が死んで当然の女だとわきまえている。バセットにとっては死は救いですらあった。


 だからこそ、臆病なコボルトでありながらも、彼女が怯えることはない。


 バセットはタマの背中を見送ってから、普段通り傍に立っている新しい魔王候補に声を掛ける。こちらも普段の通りに。



「進言します」

「なんだ?」

「我々全員、逃げたタマも含めて皆殺しにするべきです」



 感情が死んでしまっているのかもしれないと彼女は思う。

 平静にこんなことが言えるのは。


 コンラートが魔王候補としてオーク族とゴブリン族に君臨するためには、この裏切りはあってはならないものである。

 真相が広まればオーク族領に住むコボルト、ゴブリンは勿論オーク族にも動揺は広がってしまう。そうなれば最早オーク族に勝機はない。



(その生き証人である者は一匹足りとも生きているべきではない)



 バセットはそう結論を出す。

 しかし、コンラートは一瞬きょとんとし、バセットが本気であることを覚ると純真な少年のように何の裏もない明るい笑い声を上げた。



「ははははっ! 本当にお前はわからん奴だ」

「笑い事ではありません。このままでは離脱者が相当数出ます」



 笑われることは不本意だと顔に手を当てて笑い続けるコンラートに非難の気持ちを込めて見上げたが、彼は楽しそうに彼女の頭に手を乗せた。



「お前達も離脱すればいい」

「……え?」

「数年間辛酸を共にした部下達を殺す気はない。だが、お前が俺に付き合う義理はない。バセット……お前の目的は既に果たされているのだろう?」



 驚くバセットにコンラートは諭すように微笑んでいる。

 どちらかと言えば粗暴な彼が初めて見せる、理知的で思いやりに満ちた笑みだった。


 彼女は『真の目的』を誰にも話したことはない。それに気付いているのは幼馴染でもあったコボルト族の魔王候補だけであると思っていた。



「オーク族が勝利してもコボルト族が勝利しても、コボルト族に生きる道を作る。それが汚名を被ることを承知で俺に協力した本当の理由だ。そして、もはやオーク族はコボルト族を侮らない」



 遠い目をしながら語るコンラートにバセットは眼を見開く。



「ま、数年も傍にいるんだ。それくらいは俺も気付く」

「何故殺さなかったのですか?」

「お前の進言はいつも正しかったし、俺の期待にも答えていた。それにお前がいないと俺にズケズケと物を言う奴がいなくなる……それじゃあそう……『面白くない』からな」



 バセットにはコンラートの抽象的な構想を具体化する能力があり、組織を運営することもできる。コンラートは部下をハイオークへの『畏れ』を利用して扱っていたが、彼女はそれ以外の方法でも部下を動かすことが出来た。


 その能力は死の森北部の改革で遺憾無く発揮されている。


 バセットはコンラートにとって『使える女』であり、彼にとってはそれだけで十分だった。そして、長い時の流れはそれ以外の理由も作り出している。



「お前は目的の対価に見合うだけの仕事はした。後は好きにやるがいい」



 穏やかな突き放すような言葉。

 数年の時は良くも悪くも魔物を変える。才能と若さから来る血気のみであったコンラートも忍耐の時を経て、大きく変化していた。

 

 だが、その表情に弱々しいものはない。

 強烈な意志の強さ。それだけは変わっていない。



「案外、普通のコボルトのようにお気楽に生きるのも似合っているかもしれん」

「お戯れを……それではお言葉に甘えて好きにさせてもらいます」

「そうか」



 コンラートは頷く。その瞳にはもうバセットは映っていない。

 既に次の戦いのことを考えている。


 全ての者が離れても戦うつもりなのだろうとバセットは理解していた。

 そのことに彼女は何故か怒りを覚えている。抑えきれないほどに。


 バセットはコンラートの脛を思いっきり蹴った。

 非力なコボルトの蹴りである。『ぺち』っと軽い音が鳴っただけだ。



「……む?」



 蹴られたコンラートも冷徹な部下のわけのわからない行動に眉を寄せ、困惑している。

 ただ、見上げているコボルトが怒っているのだということだけは理解していた。


 それが何故かが彼にはわからない。



「コンラート様が仰られたことは事実ですが、それだけではありません。私は貴方が好きだから協力しているのです」

「わからんな。お前はコボルトだろう」

「関係ありませんっ! 幼馴染の……族長の決めた婚約者だったシバは私を必要としていませんでした。嫌だった。楽天的で何も考えていなかったあいつをどうしても私は好きになれなかった。その時は私はどうしてそこまで好きになれないかがわからなかったんです。だけど、今はわかっている」



 バセットはコンラートのズボンを掴み、感情の赴くままに言葉を紡ぐ。



「私は私を……『バセット』として必要としてくれている方の為に戦いたい」

「コボルト族はお前を永遠に裏切り者と蔑むことになるぞ」

「そんなことは今更です」

「次の戦いに勝算はない。それでもか?」

「勝算を作るのが私の仕事です」

「死ぬかもしれんぞ」

「最期までお供します」



 必死で真剣なバセットの頭から手を離すと、コンラートは両手で脇を持ち軽々と抱え、愉快そうにニヤっと一瞬だけ笑うと決意を込めた視線を彼女に向けた。



「お前は俺には勿体無い部下だ」

「有難うございます」

「バセット。お前には最期まで付き合ってもらう。後戻りは出来んぞ」

「……望むところです」



 コンラートは己の額をバセットの額に合わせる。

 『やり方』は魔王候補の力が教えてくれた。それに従って彼は魔力を込める。



”魔王の名に置いて魂の欠片を与え、汝を眷属とする”



 契約によって魔力が溢れ、太陽が差し込んでいて元より明るい周囲を更に明るく照らす。

 その光が収まった時、コンラートの目の前には見慣れたコボルトリーダーの姿はなく、冷たい印象を与える整った顔立ちの、背が高い黒髪のハイコボルトがそこには立っていた。



「え……?」



 視点や身体の変化に困惑するバセットの顎をコンラートは指を当てて軽く上げ、まじまじとバセットの顔を見つめる。


 ハイコボルトでありながら、ハイオークに近い人型の容姿。

 狼を連想させるしなやかな身体付き。


 そしてそれ以上に。



「なるほど、容姿はオーク族に引っ張られるのか……しかし、美しいな」

「っ!」



 バセットの白い頬が朱色に染まる。

 氷のような美貌だが感情はコボルトの時よりも表情に出易いらしい。とコンラートは内心で笑う。だが、言葉そのものは本心だった。



「お前は俺のものだ。その代償に、俺のものは全てお前に与えてやる」



 強烈な所有欲と共に、コンラートの凪いだような心に嵐のような強烈な感情が湧き上がる。同時に彼は全ての過去を振り切ることが出来ていた。

 コンラートの心にあるのは勝利への飽くなき渇望のみ。


 新たな魔王候補として、彼はその場に立っていた。

 


「次の戦争だけではない。俺は全ての勝利を掴んでやる。そのためにもお前の力を全て出せ。種族などは関係ない。全ての敵に俺達は勝つのだ」

「わかりました」



 うやうやしくバセットは自らの主に頭を下げる。

 そして、コンラートは残りの部下達の方に視線を向けた。



「聞いたな。お前達も選べ。俺か帝国かを」



 即答できないコンラートの部下達の中で進み出たのは、バセットと共に常に傍にあったゴブリンリーダー、チャガラである。


 普段から殆ど口を開かないチャガラは、コンラートの前に立ち、堂々と背筋を伸ばして彼に視線を合わせていた。彼はその度胸と部下の統率能力の二つを買われ、他のハイオークの敗残兵を含め、数を増やした後もコンラートの部下を実質的に任されていたのである。。



「あの日の約束は有効だ。違うか?」



 ぽつりとチャガラは呟くように言葉を零す。

 その言葉でコンラートも数年前の敗北を思い出し、ニヤリと笑った。



”何があろうとも最期まで面倒を見てやる”



 それがその時のコンラートと残った部下達との契約。



「俺は命が尽きるまで付き合う」

「お前が優秀である限りこき使ってやる」



 コンラートの乱暴な言葉にチャガラ無愛想な顔に少しだけ笑みを浮かべた。



「承知した」



 チャガラは多くを語らない。コンラートも彼の事情は殆ど知らない。

 時折ハイゴブリンに憎悪の視線を向けていることから何かあったのだろうと想像するだけだ。だが、それもコンラートにはどうでもいいことだった。


 忠実で有能である。

 それが全てだ。


 チャガラはコンラートの隣に立ち、他の部下達の方を向く。

 バセットとチャガラを除けば、他の者達の反応はそれぞれだ。昔からの部下達は当然のうように膝を付いており、新しい部下達は状況の変化について行けず困惑していた。


 コンラートは楽しむように彼等を一度見回すと、近くに残っていた大木を殴りつけてヘシ折り、その轟音で全員を自分の方へと注目させる。



「これからは俺がオーク族の魔王候補だ。裏切り者と吹聴するならするがいい。逆らう奴は構わん。どんな手を使ってでも俺を殺しに来い」



 コンラートは堂々と胸を張り、口の端を上げて挑戦的な言葉を放つ。



「だが、お前達も考えるがいい。俺は優秀な者ならば種族は問わん」



 傍らのバセットの肩を丸太のような太い腕で力強く抱き寄せ、コンラートは楽しそうに笑っている。それは周りで言葉を聞く者の心を熱くする、情熱の篭った笑みだった。

 そして、言葉を続ける。



「新しい時代を作りたい者はこの場に残れ! 働き次第で重用してやるっ!」



 彼を囲むオーク、ゴブリンからどよめきが上がった。

 さらに穏やかな声で続けていく。



「無力なものはそれぞれの特技を活かせ。守るべき民として、お前達の主として、俺は必ずお前達を守るだろう」



 その威厳のある落ち着いた言葉にコボルト族の者達は震えながらも小さく頷いた。



「よし、小難しいことはここまでだ。一緒に新しい国作りを楽しもうぜ?」



 コンラートはその場にいる全ての者を『飲んだ』後に人好きのする悪ガキのように、泥臭い笑みを浮かべる。彼を囲む部下たちは一瞬きょとんとしたが、揃って新しい魔王候補に歓声を上げていた。



 彼はそれを意図的に行なっていた。

 未来への希望などというものは空手形であり、実際にはこの場にいる者達の殆どが戦死することになるとコンラートは確信している。しかし、想いは本心からのものだ。



「俺はきっとあいつらの憎悪を受けることになるな」



 コンラートは部下達に手を上げて答えながら、胸元に抱き寄せているバセットに呟く。

 彼女だけは自分の本心を理解していると直感的に思っていた。それは魂で繋がっているかもしれないし、同じ裏切り者だからかもしれない。


 バセットのアイスブルーの瞳は理解の色を湛えていたが、首を横に振った。



「憎まれるのは私にします。貴方の悪行、汚名は全て私が背負いましょう。貴方は最期の時まで部下達の希望でいてください。それが王の役目でしょう」

「魔王か。重いな……だが、悪くはない」



 コンラートはその重さも楽しんでいた。フォルクマールとの違いはそこだろうと、彼自身は考えている。

 フォルクマールにとってはこの重圧は義務であり、消極的に果たしていたが、コンラートにとってはある種の愉悦である。積極的にその重さを勝ち取って行くものであった。



「で、これからどう動く?」

「まずはアルトリート、ベルンハルト、クレメンス、妹君のグレーティア様を引き入れます。彼等はハイオークであることとは関係なく優秀な将であり、今後の戦いには必須です」

「あいつらが俺に力を貸すか?」

「貸させます。そしてもう一つ。コンラート様は私を恨むかもしれません」



 バセットの言葉にコンラートは眼を細め、先を促す。



「クレリア・フォーンベルグをこの機に抹殺します」

「俺の不興を買うことを覚悟でそれを言うか」



 僅かに殺気が篭ったコンラートの視線にも怯ず、バセットは彼を見返していた。



「コンラート様の後悔も私の罪として背負いましょう。例え永遠に恨まれようとも、私は勝利を得る為に最善の手を尽くします」

「……くくっ。お前はいい女だな。どちらにせよ逃げ切れぬようであればその程度だ。いいだろう」



 コンラートはバセットを離すと、昔からそうしていたように頭を撫でる。

 長身のコンラートよりは低いがバセットの背丈は高くなっていて、以前とは撫でる位置は変わっていたが、冷たい美貌はそのままに尻尾を僅かに振る仕草は変わっていない。


 本人が気付いていないそれはコンラートのお気に入りの反応だった。



「頭を撫でにくくなったのだけは難点だな」

「……お戯れを」



 バセットは不機嫌そうに小声で呟くと、クレリアに対する追撃の命令を下した。

 彼女はオーク族側に付いているコボルトの殆どを自らの指揮下に置いており、その遠吠えによる伝令は周辺で戦っているオーク族の全てに届いていたのである。




「ありゃバセットの遠吠えか。コボルトの女はどいつもこいつも性格がやべえ……」

「シルキーの嬢ちゃんが怒るぜ? しかし、反対の立場に立つと厄介なこったな。旦那、どうする? 帝国側は無理だろ?」

「逃げの一手だ。あいつの予想出来ないとこから行くしかないな」



 クレリアを護衛しながら敵地を駆けていたタマとそれに従っているゴブリン達は響く遠吠えに苦笑いしていた。

 コボルトの特性。集団で獲物を追い込む上手さを彼等は熟知しており、



「こりゃまずいな。逃げ切れるか?」



 楽天的な彼らも状況に悪さに苦いものを隠しきることが出来なかったのである。





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