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風俗嬢エロにゃん

エロにゃんこと、岩下淑子は、都下のアパートで小学校に入学したばかりの息子、星輝と母子二人で暮らしていた。彼女は歩いて十分ほどの場末の繁華街にある風俗店『秘書室』にほぼ毎日通い、そこでホステス嬢として働いていた。店の休みは月曜日のみだ。


 毎日の日課は夕方、息子、星輝が学校から帰宅するとその後アパートから店に向い、帰りは朝方四時半頃になる。帰宅すると朝御飯をこしらえて仮眠を取り、息子、星輝を起こし一緒に朝御飯を食べて、学校へ送り出す。そしてまたすぐ眠りに就く。午後二時半頃に起きて買い物に行き、昼夜を兼ねた御飯を食べて夕御飯を用意し、息子、星輝の帰宅を待つ。彼も心得たもので、午後三時前には家に帰らないで学校で遊んでいる。


 その日もいつものように夜五時半頃にエロにゃんは店に出ていた。場所的には場末の住宅街の最寄り駅近くの繁華街に店を構えているので、いつでも流行っている都心の商業地の風俗店と違い、地元の年寄り連中がごく早い時間にぱらぱらと、金曜日は通勤サラリーマンがかなり遅くに店を訪れるというパターンだ。

 

 商店街で顔を見たことのある年配のおじさんが二人連れ立って店に入ってきた。お目当ては店でナンバーワンのエロにゃんである。


「お帰りなさーい!」


 二人のホステスが早速おじさん達の腕を捕まえ、奥の方へと連れ込む。エロにゃんはニコニコしながら二人のホステスを顎で使うように店の奥へと導く。客は離れていく彼女を見ながら名残惜しそうに『いやいや』をしながら、それでもまんざらでもなさそうな顔をして二人に引かれるがままに奥のほうへ向かった。二人の男の姿が暗闇に紛れて消えた後、少し遅れて、一人の体格のいい中年の男性が入ってきた。背広にネクタイ。それに、大きなツバつきの野球帽という見るからにミスマッチな格好だ。


「いらっしゃいませ」


 エロにゃんはその男のもとへ小走りに駆け寄った。男は何も言わずに顔の向きを上から下まで、彼女の全身を確認するかのようにゆっくりと動かしていった。


「ちょっとう。ど助平ちゃん。欲しがりすぎよーん」


「ドスケベ……。 だと?」


 エロにゃんは、……変な人…… と思いながらも腕をその男の背中に回し店の奥へと促した。



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