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旅の花

作者: 有未

さびしい時に息をしている

どうしてか涙

吐き出した溜め息が網戸から抜け出して行く

私は何処にも行けない


息のあいだあいだに私が紛れて消えて行く

明日からのことも手に付かない

今日はまだこれからなのに

何処かに花が咲いていた気がしたのに

いつの間にか見えなくなってしまった


猫の目の月が笑っている

メレダイヤの星が瞬いている

私ばかりが何処にも行けなくて

夜に始まる私の世界がひとつ転がっているだけ


ああ

いつも懐かしく思い出す

変わらない風景

変わらない小さな町

其処にいた私

其処にいた友達

必ず来る明日を約束して駆ける今日

長く長く続いた時代

太陽の光

何処までも


ひとりの部屋の片隅から息が吐き出されて消えて行く

吐き出した溜め息が網戸から抜け出して行く

私は此処で座り込んでいる

羽もなく

夜に紛れて息をしている


巡る心の根が足元から伸びて動けなくなる

溜め息ばかりが空に溶けて行く

俯く


何処かに咲いていた花が涙から生まれて邂逅する

また会えたね

見えない時もずっと此処にいたよと

朝も夜も此処にいるよと


ひとりの部屋に咲いた花

今日も明日も思い出も

何処までも続く旅の中

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