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第三十話「崩壊」

アクアは周囲から冷ややかな視線を浴びた。

しかし、そんなものなど一切相手にせず叫び続ける。


「ねぇ、なんとか言いなさいよぉ!!あたしは助かったのよね!?本当のこと言ったから許してくれるんでしょぉ!!?」


ハルカは微笑み

「確かに許すって言ったね~~。でも 殺さない とは言ってないよ?」


ハルカの手がアクアの頭部に伸び、アクアは悲鳴をあげる。

「ヒィィッ!!」

指先が触れようとした瞬間


リックハートが飛び出し、ハルカの肩をつかみこちらを向かせ、頬を勢いよく叩いた。



「・・・・・・。」

ハルカは頬を押さえ、ぽかんとして黙っていた。


「お前のそれは、強さではない・・・・。そんなお前は、俺は認めない!!邪神を追い出して元のお前に戻れ!ハルカ!!」


ハルカはまだ、何が起こったのかわからないという表情で、リックハートの顔を見つめる。


「なんで?」

ハルカは言った。

「なんで・・・?」

詰まりながら、続ける。

「どうして・・・?」


ハルカの両の目から、涙がこぼれる。

「なんで?なんで否定ばっかりするの?あなたたちが私をずっと否定し続けるから、私はこんなわけのわからない存在になっちゃったんじゃない・・・」


ぼろぼろと、大きな涙が次から次へと溢れる。


「巫女のみんな・・・。

私はあなたたちの奴隷でもないし、サンドバックでもないよ・・・。

あなたたちが、優越感を得るために、プライドを保つために、他人を見下して

相手が自分より能力が低いと判断したら、まるで人権が無いみたいな扱いして

私が、怯えたり、泣いたり、悲しそうにすると、さもきもちよさそうなイッちゃってるかおして、そのかおが、どんなにみにくいか、か か か  か   か   か か    か」


ハルカの黒目が上下左右に小刻みに揺れ出す。


あなたの絶望した顔があなたの絶望した顔があなたの絶望した顔があなたの絶望した顔があなたの絶望した顔があなたの絶望した顔が見たい見たい見たい見たい見たい見たい見たい見たい見たい見たい見たい見たい


ハルカの黒目の揺れは徐々に大きくなり、左右非対称、ぐるぐると不規則に動きだした。


同時に天井の照明が弾け、破片が降ってくる。

部屋中に飾られた燭台が落ち、蝋燭が倒れ床を燃やした。

誰も触ってない長椅子が次々と倒れ、扉は勢いよく開き何度も大きな音を立て開閉を繰り返す。


「ハルカ・・・しっかりしろ!」

リックハートが言った。


窓が一斉いっせいにパァン!!!と割れ、細かいガラスが飛び散る。


「落ち着いて!ウチはハルカの味方だよ!!」

ノアも駆け寄り声をかけるが、もうハルカの耳には届かない。



「アア・・・こんなに頑張っても・・・私仲間になれなかったよ・・・」

彼女の目は変わらず左右非対称にぎょろぎょろと動き回る。


「私は・・・私は・・・・みんなと遊びたかっただけなのに・・・」


大理石で出来た最高神の像にピシッとひびが入った。



その時。

ハルカの身体が突然キラキラと輝きだし、その輝きは鎖となりハルカの身体を締め付けた。


「ひゃうっ!?何これ!!?」

ハルカは驚き、その鎖から逃れようと身をよじったが、光で出来た鎖は外れない。

部屋中で起きたポルターガイスト現象もピタリと止まった。


ハルカの周囲に散らばる光の結晶は一カ所にかたまり、人の型になった。

輝く人型の『なにか』は、ハルカを抱きかかえ、城からある程度離れた池のほとりに移動する。


三人が追って外に出ると、地面は干からび、水はにごり草木は死に、空は赤く染まり・・・


「なに・・・これ・・・」

ノアは愕然とし、空を見上げる。

「自然界の崩壊・・・?」

リックハートも辺りを見て呟く。

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