第二十三話「腹痛」
その昔、このような神話があった。
とある山奥に小さな村があった。
質素な暮らしではあったが村民は活気にあふれ、満ち足りた生活をおくっていた。
しかしある時疫病が流行り、村民は次々と倒れ、病に命を奪われた。
その地を領土とする帝国が危機を察し、国王は兵に『村を村民ごと焼き払う事』を命じた。
兵たちは燃える矢を放ち、村は轟轟と燃え、逃げ出せず焼死する村民もいた。
次々と無残な死を遂げる村民。
それを目の当たりにした村長たちは、このまま死んでなるものかと思い、獅子神ブラッディレオを呼び出した。
神の守りに歯が立たず、帝国も殺戮神ブラッディマリーを呼び出し、神にすがる人間同士の戦が始まった。
王家は疫病が城へ浸食する前に根絶やしに、村民は自分たちの生きる権利を訴え、神々は人間に武器を惜しみなく与えた。
その結果、帝国は村に敗北し滅びた。
村民は、この戦争で自分たちを見捨てようとした帝国を恨み、裏切りを学んだ村民は自らの力で生きる志を忘れ、心は荒み、獅子神に依存する閉鎖的な村となった。
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翌朝。
「父ちゃんのばかぁ!!」
「いや、だから謝ってるだろ?ごめんて・・・ほんとごめんなさい、機嫌直して・・・?」
すっかり機嫌を損ねた春子のそばで、へたれ化した父親がご機嫌取りをしていた。
「何をしてるんだ?あいつらは」
リックハートは相変わらず飄々としている。
ノアはくすくすと笑い
「あいつは前からああなんだよ、春子ちゃんの前ではね~」
少し離れた場所から、親子の姿を見る二人であった。
「きのう父ちゃんもここにきてたんでしょ!?なんではるこにいわないの!?」
「ごめんってぇ・・・父ちゃんも疲れてたから、うん・・・」
しまいには土下座してしまった。
リックハートは冷めた目で言った。
「俺は父親にはあんなことさせたことないぞ」
「それは、きっとあんたのパパが、あんたに似て破天・・・なんでもない」
ノアは言いかけて途中でやめた。
リックハートはしびれを切らし、親子に近寄り話しかける。
「さぁ、もういいか?そろそろ始めたいんだが」
皇之介は立ち上がり、「あぁ」とだけ答えた。
春子はきょとんとして二人の顔を交互に見ていた。
「春子ちゃん、怖いことは何もないからね。大丈夫だからね。」
ノアが春子の頭を撫でた。
「先に行ってるぞ」
リックハートは部屋から出た。
「あのひとこわぁい」
「大丈夫大丈夫」
ノアが春子の緊張をほぐすようなだめる。
「そう、大丈夫だ。心配いらないぜ。父ちゃんがいるんだから。・・・と」
皇之介は急に
「・・・あ、なんか腹がいて・・・いてててて」
ノアはギョッとした。
「慣れないもん食べたから・・・あたったかも・・・」
「ちょ、ちょっとなんなの、漏らさないでよね!?」
眉間に皺をよせ、腹部を抑えながら
「厠はどこなんだ・・・?」
とチラチラとノアを見ながら聞く。
「あ、廊下出て突き当りの・・・」
ノアは完全に困惑していた。
「ありがとう、ちょっと待っててくれ・・・すまん、春子、一緒に来てくれないか」
その一言で、ノアの声色が変わった。明らかに不信感を抱いている。
「・・・なぜ?」
うううと唸りながら
「春子はすごいんだぜ、腹が痛いときに背中さすってくれてると便の出がいいんだ」
ノアはドン引きし
「あんたそんなことを娘にさせてんの・・・」
春子は当たり前のようにトイレへと促す。
「父ちゃん、だいじょうぶ?かわや、いこー」
ノアは怪訝な顔で言った。
「ウチもついていくからね」
「お前、俺のうんこに興味があるのか?」
「バカじゃないの!!?・・・一つ言っておくけど、春子ちゃん連れて逃げる、なんて考えないでよね」
読んでくださる皆様、本当にありがとうございます。心の底から感謝。
増えるアクセス数を見て、毎日不気味な笑みを浮かべています。
本編もクライマックス近くとなりました。皆さんに楽しんで頂けたら嬉しいです。
デュフフ(ニチャア)




