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第二十一話「解散」

リックハートは言った。

「お前が来たからか それともクローンが戻ってきたからか 今夜はハルカの声がやけに激しいな」



私は 誰からも愛されず どなたから見ても扱いにくく

できそこないの あなたたちのようにつよくなれず

ごめんなさい ごめんなさい

こわいの くるしいの まいにちが こわいよ でもね にげばがないの

わたしは もとめる こたえをえようとする もとめる もとめる もとめる ごめんなさい こまらせて ごめんなさい

おこらないで こわいよ こわいよ こわいよ こわいよ こわいよこわいよこわいこわいこわい



皇之介は下を向き、苦渋の表情を浮かべていた。

乃亜も、ソニアも、うつむいたまま。

あのリックハートですら、帽子で目元を隠した。


「なぁソニア、この育ての親とやらに、覚悟を求めるのは無理じゃないか?」

「・・・・。でも、今の状況とこれからの事を全て話してしまったわ。このまま帰して情報を漏らされたら」


皇之介は顔を上げ、答えた。

「俺にも・・・手伝いをさせてくれ」


リックハートは、変わらず目元を隠しながら言った。


「いいのか?お前はクローン・・・春子を確実に目の前で失うぞ」

「・・・。あぁ。」

「随分物分かりがいいな。ちゃんと理解できてるのか?

まぁいいや、俺はハルカをなだめてくる。今夜はどうしようもないくらいに情緒不安定のようだ」


「お兄様」

玉座の間を出ようとしたリックハートを、女王が呼び止めた。

「他人の前で兄と呼ぶな」


「改めて、皇之介さんに自己紹介したら?これからは協力者よ」

リックハートは、背を向けたまま、


「宮廷騎士団総長、リックハートだ。

一つだけ言っておくが、俺の邪魔をするなよ。俺は元のハルカを取り戻す。それだけだ」


言い終えて、玉座の間から出ていった。



「あいつ・・・女王の兄貴・・・?」

皇之介が呟いたが、ソニアは黙って答えなかった。


そして、乃亜に問いかける。

「お前も・・・元々この国の人間だったのか?」


「うん・・・。ウチは、両剣騎士長ノア。本当に、騙すつもりはなかった・・・でも、ごめん。でもね・・・春子ちゃんは天使みたいに可愛いよ、これも本当の気持ち」

下を向きながらノアが言った。


皇之介は黙ったままうつむくノアを見つめた。

乃亜とこんなに気まずかったことなど今まであっただろうか。


ソニアは問うた。

「それでは、春子ちゃんと会いますか?」

「今は・・・ごめん、少し、休ませてくれ・・・」

心身共に疲弊している。

もし春子の顔を見れても、心底喜べそうにない。


ソニアは察し

「そうですね、客室を用意させます」



数分後、侍女が「客室の用意が出来ました」と伝えに来た。


ソニアは、ノアをいたわり言った。

「ノアさんも頑張ったわね。ゆっくり休んで」

「うん・・・」



「乃亜!」

皇之介は部屋を出ようとするノアの背に声をかけた。

立ち止まったが、振り向くことはない。

「お前は何も悪くねぇことはわかってる。しおらしくすんなって!お前らしくないぞ!」

ノアは振り返り

「うっせぇわ!アンタが思うより健康です!」

軽く笑ったあと、・・・でも、ありがとう。そう言って部屋を出た。



「あ・・・そうだ」

閉まるドアを見届けて女王の方を向き、皇之介は聞いた。

「この国の巫女で、神風峰子って奴知らないか?」


女王は考え

「申し訳ないけれど、さすがに全部の兵の名は把握してないわ。明日にでも巫女長みこおさに聞いてみるといいかもしれない」

「そっか、そうだよな。ありがとう、女王さん」

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