第十七話「女王」
兵が扉を開き、乃亜と皇之介は部屋の中へ足を踏み入れた。
大きな部屋だ。
内装は細やかであるが 豪華で美しく、床には赤い絨毯が敷かれている。
高さのある天井にはガラス細工だろうか・・・きらびやかな灯がまぶしく光る。
まるで別世界だった。
見たことのない建築技術の大広間、皇之助は物珍しく思い、落ち着きなく部屋中を見回した。
「あんまりキョロキョロしないの」
乃亜が小声でたしなめる。
部屋の奥には玉座があり、可愛らしい少女が座っていた。
「あなたが天道皇之介さんね。ようこそ、ラヴァゴート城へ」
玉座の少女は言った。
あどけなさの残る顔立ち、歳は十五、六だろうか?
華奢な体つきに、銀色の長く美しい髪。
水色のドレスがよく似合う、かわいらしい女の子だ。
髪の隙間から、長く先がとがった両耳が見える。あれは耳飾りだろう。
それにしても・・・誰かと雰囲気が似ているような気がする。
「は、はぁ・・・どうも」
皇之助はなんとも間抜けな返事をし、春子のことを聞いた。
「ここに娘が連れてこられたはずなんだが。赤い恰好した失礼な奴に。知らないか?」
乃亜が自分の背中に隠した手で、皇之助の尻をつねる。
「イッ!!てててて」
「せめて敬語くらい使いなよ。相手はこの城の女王様なんだよ?」
こっそりと注意される。
「えっ?女王・・・・?」
乃亜が代わって謝罪する。
「申し訳ございません。知恵の無い男ですので・・・」
「・・・え?俺のこと?」
女王はクスッと笑い、構わないわ、と答えた。
「娘さんはこの城の客室で休まれていますよ」
皇之助はパァッと顔を明るくし騒いだ。
「会わせろください!!うちの娘なんだッス!連れて帰るぜですよ!どこの部屋!?ヤックデ〇ルチャアアァ!!!」
そわそわしだす男を制し、答える。
「娘さんに会わせる前にひとつ、お話があります。
娘さんに関して、父親であるあなたはとても覚悟がいるお話」
ですが、と付け加え
凛とした表情で、皇之助の赤い瞳を見つめ言った。
「話をした後のあなたの反応で 『異論を唱え邪魔をする存在』 と、こちらが見なした場合。一生この城の地下牢で過ごしていただくことになります」
皇之助は、見た目か弱き女性に似つかわしくない、一国の主の尊厳に声が出なかった。
「話を聞かない、と仰るならば帰りなさい。春子の事は忘れて、村へ帰り新たな人生をおくることをおすすめします」
困惑する皇之介に、続けて女王は問う。
「話を聞きますか?聞かずに帰られますか?」
横をチラと見ると、珍しく乃亜も真面目な顔をしている。
・・・・少しの間を置き、皇之助は言った。
「話を聞かせてほしい。俺はここまで追ってきたんだ。覚悟だかなんだか知らないが簡単には帰らないぜ」
銀色に輝く髪をさらりと揺らし、女王は頷いた。
「わかったわ。それでは話しましょう。この国の危機の話、あなたの娘の正体、これからの未来へ繋ぐ計画」
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聡明な女王は語り始める。
「まず、ここはラヴァゴート国。あなたがいた大和村からは5000キロほど離れた地です。
私はこの国の女王、ソニアと申します。
我が国は剣術や武術が盛んな国。
しかし物理的な戦い方だけではなく、特殊能力を扱う兵もいます。
自然を操る者、対象を操る者、傷を癒す者、神の力を身に宿す者・・・。
風水師、魔導師、占術師・・・我が国ではいろいろな役職があるけれど、神の力を身に宿す者を
『巫女』というの」
乃亜と皇之介は、それを静かに聞いていた。
(最近多忙で疲れがたまってるので、更新遅くなるかもしれません。
愛想を尽かさないで、待っててもらえたら嬉しいな・・・。ゲホッ)




