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第十六話「城門」

はりねずみの手当ては驚くほど効果があった。


「結構深い傷だったろうに・・・野生の動物達はすごいな」


はりねずみ2匹は、すごいでしょ!とばかりにぴょんぴょん跳ねた。


その時鹿が首を下げ、皇之助の脇の下に鼻先を突っ込み、そのまま首を上げ皇之助を立たせた。

うさぎがぷぅぷぅと鳴いて、城の方を見る。


「そうだな、行かなきゃ・・・」

野犬達は、まるで先導するように二、三歩進み、振り返った。


多少フラフラするが、歩けないことも無い。


「ありがとな、お前達。いつか礼をするよ」

動物達に見送られ、皇之助は夜の静まり返った城門へと進んだ。



もう夜更けだ。


城門は固く閉ざされ、兵士が二人警備をしていた。

簡単には通してくれそうもない。


「えーと、すまないがちょっと話をいいか」

話しかけてみたが、兵士は一瞬睨んだ後無視をする。


(なんとか入る方法は無いか・・・)


「ここに俺の友人、乃亜って奴と、娘がいるはずなんだが」

兵士は無視を決め込む。


「・・・・会わせてくれないか。頼む」


皇之助の顔をジロジロと見て、片方の兵士は言った。

「ノア騎士長がお前の友人だと?」


皇之助はきょとんとした。

「キシチョー?なにそれ」


兵士は見下すように笑いながら

「嘘をつくならもっとマシな嘘をつくんだな」

と、吐き捨てるように言った。


いや、本当だって・・・ と言いかけた時

「嘘じゃないよ」

閉ざされた城門の向こうで声がした。


「乃亜!その声は乃亜か!?」

皇之助は喜んだ。


城門が微かに開き、中から乃亜が現れたのだった。


「見張りご苦労さま。こいつはウチの友人で間違いない。中に入れてやって」

「しかし、騎士長・・・」


乃亜は皇之助を見て微かに笑った。

「ほんっと・・・強運な男だね。でもあのまま野垂れ死にされたら後味悪いから、迎えに行くとこだったよ」


皇之助は目頭が熱くなり、つい声が大きくなってしまった。

「神様、仏様、乃亜様!!・・・!!本当に、本当に!ありが」


乃亜の強烈なチョップが脳天を直撃し、皇之介の両鼻から鼻水が飛び出た。


「ってぇ!!!」

「あんまり大きな声出さないで。それと、この門も長くは開けてられない。早く入りな」

乃亜が周りの様子を伺いながら手招きをする。


皇之助はそーっと侵入した。


「見張りのアンタ達には後で口止め料はずむよ」

乃亜はそう言いながらウインクをし、兵士達は深々と頭を下げた。


城門が再び閉じ、二人は城の中庭を歩く。


大和村とはまるで違う・・・


綺麗で大きな庭園、夜更けなのにも関わらず酔っ払いの一人もいない。

辺りは静かで、街灯の灯りがほのかに揺らめく。


周りを見回すと、中庭を囲むようにドアがいくつも並んだ廊下が見える。

高さは3階建て、吹き抜けの作りだ。


ほんの少し歩むと、建物の入り口にたどり着く。

見張り兵が乃亜に一礼をし扉を開き、彼らが中に入ると再び閉じた。



城の中は、甲冑、槍、大剣なども飾られているが、可憐な花が咲く花壇がいくつも飾られ、小さな池と噴水まである。


階段を上り、またも大きな扉の前に立つ。

兵士が扉の両側に一人ずつ。

片方の兵士と目が合ったとき、ギロリと睨まれた。


「姫様、例の男を連れて来ました」

乃亜が扉に向かって言う。


扉の向こうから


「ありがとう。入って」


まだ幼さの残る可憐な声が聞こえた。

兵が扉を開け、乃亜と皇之助は中へ入った。

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