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第十話「遭遇」

「ちょっと待ちなよ、せめて説明を」

乃亜が、間を割って言う。


しかし男二人には聞こえていないようだった。


絵の女性の顔は、「春子」に似ている、というより 雰囲気や表情も加えれば まさに「峰子」そのものだった。

暗そうな、影のある目をこちらに向けている。


「正確に言うと、その女に似ている人間を探している。どうやらその様子だと知っているようだな」

赤い妖怪のまとう気が鋭くなった。


・・・峰子に似ている人間を探しているだと?

皇之介は急に春子の安否が気になった。



「だから説明を」

また乃亜が間を割って話しかけるが、失敗する。

乃亜の言葉を遮るように、赤い妖怪が言った。

「とりあえずその女のところ連れていけ」


皇之助は危険を感じた。

こいつを春子に近寄らせてはいけない。

本能的に、そう察した。


「・・・知らないなァ。こんな女、見たこともない。他を探せば?」

一刻も早くこの場を去り、家に帰り春子を守るべきだ。

「俺はもう帰るぜ。じゃあな」


赤い妖怪は、立ち去ろうとした皇之介の腕をつかんだ。

「見え透いた嘘をつくな」


帽子の大きなつばで表情は見えないが、口調は強い。

つかまれた腕を振り払おうとしたその時


我慢の限界を迎えた乃亜が、両者の頭を叩いた。

そして一喝。

「いい加減にしなさい!!」


「いって・・・」

「っ、何すんだお前!」


「ウチを無視しないでよ!まず説明が先!」

乃亜が、腰に手を当て 仁王立ちして言い放つ。


ずれた帽子の角度を直しながら赤い妖怪が言い返した。


「こいつは無関係だろ。何を説明する必要があるんだ」

「無関係じゃないよ!こいつはハルカのクローンを育て・・・」

乃亜は、ハッとしてくちをつぐんだ。


「何だって?お前がクローンの育て親か?」

赤い妖怪は驚き、皇之介を見た。

「なるほど、そういうことか・・・」

何かを、一人納得したようだった。


「クローン?ってなんだ?」

「お前が知る必要はない。つまりは、お前の娘のことだ」


背筋がゾッとした。

こいつは『絵の女に似た人間 が 春子むすめ』だと気づいている。


「何がなんだかわからないが、お前のような変人に会わせる筋合いはない」

皇之助は少々喧嘩腰で言った。


「なんだと?丸腰の癖にずいぶん強気だな」

赤い男は腰に携えた見たこともない武器に手をやる。


「やるのか?俺に触ると火傷するぜ」

当たり前のように恥ずかしい台詞を吐きながら、皇之助も構える。


飛び散る火花が見えそうだ。しかし。

今度は乃亜の大得意な、最恐の平手打ちが両者に見舞われた。


「いッ・・・」

「・・・てぇ・・・」


先ほどよりいい音が鳴り、木々からカラスが数羽、鳴きながら飛んでいく。


______________


「・・・とりあえず、落ち着きなよ。簡単に説明出来る話じゃないんだから」


乃亜は皇之助と向き合い

「近いうちに必ずわけを話すよ。・・・約束するから」


皇之助はいつになく真剣な表情の乃亜に押されつつ、そしてこの異様な状況に困惑し「あ、あぁ・・・」とだけ答えた。


乃亜が改めて言った。

「察してるだろうけど、こいつは号外にあるへんてこりんな妖怪さ。名前は・・・」


腕組みをしてそっぽを向いている「へんてこりんな妖怪」は


「名乗る必要は無い」


とだけ。


思い通りにいかなく、相当不貞腐れているようだ。

乃亜は大きなため息をつく。


「俺も名乗る必要も無ければ、お前の名前など知らなくていい」

皇之助は赤い妖怪をキッと睨み


「ただ、娘に近づくなよ?死にたくなければな」


へんてこりんな妖怪は、見向きもしなかった。

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