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【悲報】みんながボクを狙ってる?~婚姻したら裸にされるし拐われそうになるし、挙げ句、狙われてるって誰得ですか?~  作者: ペロリネッタ
3.喜多村本家に居候

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94.また黒メガネ?*


「キョウよ、皆のガス()きをしたいのじゃが?」

「ガス抜きって何?」


 なんか唐突(とうとつ)だね~?


「今のまま、(たかぶ)ったままでは業務(ぎょうむ)支障(ししょう)がでる──」

「ふむふむ」

「──ひと時、辛抱(しんぼう)して皆の好きにされてみぬか?」

「え~~っ。そんなのイヤだよ」


 何いってるの、この人。


「大丈夫じゃ。そなたの記憶(きおく)に残らぬようにする。(ひど)いこともせぬ。どうじゃ?」

「記憶に残らないと酷いか、そうじゃないか分からないと思うけど?」


 そんな都合(つごう)よく行くわけないよ。


「そうじゃの~。分かった。聴覚(ちょうかく)は残しておく。それでどうじゃ?」

「聴覚だけ、ってあとはどうなるのよ?」

「感覚遮断(しゃだん)して分からなくする、たぶん」


 たぶん……って……


「そんなことできるの?」

「できる。黒メガネで管理者(アドミニストレイタ)権限(モード)にアクセスできたようじゃから、たぶん」

「また、たぶん?」


 少し考える。


「この事態(じたい)収拾(しゅうしゅう)できるんだね?」

「おそらく──」


 おそらくとか、たぶんが多すぎ。


「──仕方なかろう。実験も検証(けんしょう)もこれからのものを勝手に発動(はつどう)させてしまったのじゃ。わしにも分からん」


 あやつが()れば分かるものを──ってサキちゃんが(つぶや)く。


 もしかして、ボクって実験台にされる予定だったの?


「……分かった。どうすればいいの?」

気更来(きさらぎ)、あのメガネを」

「えっ? は、はい」

「あの黒メガネするの?」

「そうじゃ」


 あれは禁止って言ってたじゃん。


「メガネでそんなこと、できるの?」

「おそらく、できる」


 まったく、「おそらく」とか「たぶん」とか……。いつものサキちゃんらしくないよ。


 程なく、気更来さんが鈍色(にびいろ)の金属ケースを持ってくる。あのメガネケースだ。


「ほれ、着けてみよ」

「うん……」


 差し出されたケースを開けて中のメガネを着けてみる。


 ──あ! こんなところまで(のぞ)かれてる。これは……監視(かんし)カメラ?


「では、『ステータス』で身体(しんたい)ステータスを見てみよ」

「ステータス? おおっ? 何かいっぱい数値が出た──」

「やはりか……。では、言う通りにせよ」

「うん……」


 言われるまま『外接(エクスターナル)』に切り()えて『周辺探索(たんさく)』をカット。これで頭が疲れないらしい。


 でも、監視カメラが分からなくなったよ?


内部(インターナル)』に戻って『運動機能』から『随意(ずいい)』と『感覚』から聴覚(ちょうかく)の他をカット──って『警告ワーニング』って出たよ?


 ──ちょっと~、聞いてる?


「ああ、警告(けいこく)が出たか? 無視して三十分後にデフォルトに復帰(ふっき)設定(せってい)。皆のもの急げ。風呂マットを持って()よ……」


 ──ちょっと~それだけ? 何が起こってるのさ? 目の前、真っ暗になったよ~?


「声を上げるな。全てキョウが聴いているぞ」


 ──お~い、聴いてる? って自分の声、聞こえない。なんで?


「……うっく……くっ」

「……うふっ……ぬふっ」

「そなたら、静かにせぬか」

「三十分、しか、ないのに、なりふり、かまって……ううっ……」


 ──もういい。……ええっと、身体ステータス……普通? だね……。百分の五十あたりをうろうろしてる。


 ──身長の項目(こうもく)は……さすがに無いか……クッソ~。


 ──『頭脳(ブレイン)』がバッドになってるよ? なんだよ、指数が『40』って低すぎ。


 ──ちょっと上げてやろ。[↑]をポチッ……あれ?


 ──ポチッポチッ!……あれ? なんで上がらない?


 ──ポチッポチッポチッ!……ダメだ。ロックされてる?


 ──『知能(インテリジェンス)』『記憶(メモリー)』も低めだな~。


 ──『外向性』は高めで外交的、『内省(ないしょう)性』は低めで(なや)まないようだけど……。


 ──これってボクの性格そのまま?


 ──まあ、良くも悪くも変更できなくて、良かったような悪かったような……。



「これ、そろそろ時間じゃ。片付けよ、急げ!」


 ──お! やっと終わり?


(ひま)すぎだよ。って、何? この(にお)い~」


 やっと視覚(しかく)臭覚(しゅうかく)が戻って来たと思ったら……なま(ぐさ)い。


 それに、いつの間にかマット──お風呂マットに寝かされてるし。


「どうじゃ? 痛いことはされておらんじゃろ?」

(いた)いってほどでも無いけど、手首とか指とかぐきぐきする~」

「……あれほど無理するなと言っておったのに……」

「なに?」

「なんでもない。それで、どうじゃった?」


 どうって言われても……


「なんか、周りが死屍(しし)累々(るいるい)、なんだけど?」


 見回すと、女の人が折り重なって倒れてる。何あれ?


「気にするな。皆、天国にイっておるだけじゃ」

「ダメじゃん、天国行ったら」


 まあ、表情はふやけてるから大丈夫……か?


「ぬるぬるされるって、こーゆうことだったのね?」


 身体じゅう粘液(ねんえき)まみれになってる~。


 またしても、ボクは、サザレさんたちに身体を洗われる羽目(はめ)に……。


 スペシャルソープのお(かげ)で、またいい匂いに戻ったけどさ~。


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