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【悲報】みんながボクを狙ってる?~婚姻したら裸にされるし拐われそうになるし、挙げ句、狙われてるって誰得ですか?~  作者: ペロリネッタ
3.喜多村本家に居候

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89.マキナの思いは?*


 携帯を取り出し会社の代表番号経由(けいゆ)でマキナにつないでもらう。


「もしもし?」

『どうした?』

「は~、お仕事中、申し訳ありません……。少し相談したいことが」

『手短に頼む』


 だよね~。


「ご学友でしたミヤビ様がボクを気に入り妻の一人に迎えたいと──」

『なに! いや、すまん。続けて……』

「──はい。それで、ですね……」

『うん……』



 かい()まんで経緯(いきさつ)をマキナに説明する。


 おそらく、お子が()られないのは知ってるだろうから、それは(はぶ)いた。


 奥方の代わりにボクの子種を提供すること、喜多村家で初床(はつとこ)()ますご意向(いこう)であること、それを済まさずにはお帰りにならない、と話した。


『……そうか……。ならば、お言葉のままに。喜多村のためだ。もう何代も喜多村から男を差し出した経緯(けいい)はなかったはずだ。姻籍(いんせき)の者でもいなかったはず。快挙(かいきょ)だ。(ほこ)るべき成果だ。喜多村のために──』

「マキナの言葉で言って?」


 一瞬だったと思う。でもボクにははるかに長い沈黙(ちんもく)に感じた。


『……キョウ、その身を(ささ)げて、くれるか?』

「はい、喜んで」

『それじゃ、切るぞ?』と、それは奥歯を()()(しぼ)り出すようだった。


「うん。週末、待ってます……」

『…………』


 電話は、プツリと切れた。耳にはツーツーと話中音が(ひび)く。


「は~~。マキナは……(おお)せのままに、せよ、と……」

「そうであろう、そうであろう。さすが愛友(マブだち)マキナじゃ──」


 ()かれるミヤビ様を見てたら、なんか腹立ってきた。なんとか意趣(いしゅ)(がえ)しできないかな?


「──では、()く屋敷に戻って(はだ)(みが)いて()よ。わらわは支度(したく)を指図してくるゆえ──」

「お待ちください。奥方様たちにお会いして、ご挨拶(あいさつ)しとうございます」

「──な、なに? それは……またの機会でよかろう?」


「いいえ。ボク──わたくしが密通(みっつう)するような不調法(ぶちょうほう)者とそしり(﹅﹅﹅)を受けるやも知れません。奥方様にご挨拶(あいさつ)して初床を迎える不躾(ぶしつけ)をご寛恕(かんじょ)いただけますよう哀願(あいがん)しとうございます」

「うぬぅう~……」


 ふぅ~む。困ってる困ってる……ざまあ。


「──分かった。疾く申し伝えるゆえ、待っておれ」


 そう言うなり引き返して行く。ミヤビ様、独断(どくだん)専行(せんこう)だろう。根回ししてないね? きっと。


 まあ、奥に閉じ(こも)ってる高貴な奥方はなかなか外には出てこない。キシシシシw。


「キョウ様……悪い表情してらっしゃいますよ?」

「ギクッ──そ、そうかな~?」


 横によってきた(ささ)さんが(ささや)いてくる。


「それより、なんで? 付いてきたのは」

「我らは本来、(かげ)ながら主君をお(まも)りする(かげ)。いかなる時もお(そば)からは離れません」

「あ~新都にも居たね? そんな人」

「若い者たちですね? もう三十ともなれば任務を(まっと)うできませぬゆえ、身を退()きこのようなことをしておるのです」


 なんか……諦念(ていねん)(こも)ってるね、定年だけに。


「ふふふ。大変なんだね?」

「それで……これからどう()さるのです?」

「どうもしないよ。マキナ──ああ、ボクの主人が許可しちゃったから、なるようになればそれを為す、しかないかな?」


 心中(しんちゅう)(さっ)ししますと、(なぐさ)めてくれる。


「キョ~ウ」

「たいくつ」

「もう、屋敷に帰ろ?」

「そうだね。ん~お風呂が先か、食事が先か……サザレさんにでも訊こうか……」


 ボクたちは、庭園の散策(さんさく)から屋敷へ歩を進めた。屋敷に戻るとタンポポちゃんたちを部屋へ送ると、サザレさんを(さが)す。


 どこに居るかな~? 使用人館だろうけど。まあ居場所が分からなかったらサキちゃんに訊いてもいいけど?


「居たいた。サザレさん、訊きたいことがあるんだけど?」

「何でございましょう?」


 使用人館で若いメイドさんのアイロン掛けを指導してる? 岩居サザレさんを見つけた。


「ボクとミヤビ様の初床は聴いてる? その支度(したく)に食事が先かお風呂が先か聴きたくて」


「そうでございますね~。お食事のあと、ご入浴された方がよろしいですね」


 支度(したく)()いては直命(ちょくめい)()けていると言い答えてくれる。


「そう……。じゃあ、食事はタンポポちゃんたちと一緒に食べるから本館に用意して? それから初床にはどんな衣装(いしょう)をするのかな?」


「初床には白襦袢(じゅばん)でございましょうか?──」


 それから、初床の作法などサザレさんに教えてもらう。


 お酒飲んで、お(もち)食べて、衝立(ついたて)向こうに人を置いて見守られながら行為(こうい)におよぶ……ってどんな羞恥(しゅうち)プレイだよ。


 お風呂も介添(かいぞ)えの(ひと)に身体じゅう点検され洗われ、服──襦袢(じゅばん)一枚で寝所(しんじょ)に入る……。


 取りあえず、そこは省略(しょうりゃく)してくれそうだけど。


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